【マギ】一官吏【男主】 (ページ6)

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6幕の運命ページ6

*

仮に人生の道筋全てが決まっていたとして、

自身の運命に絶望しているか
___はい

.
...
......

「オーイ、落としたぞ」

中庭に面した吹き抜けの廊下は、中と外との仕切りがない分景色としては最高だ、書類を扱う一文官としては手放しに喜べない。
なにせ城内を吹き抜ける風が書類を飛ばすのだ。そして知らぬ間にその現象は起こっていたらしい。

背後を振り返ると驚いた。
また八人将ではないか。しかも2人。
シャルルカンさんと、ピスティさん。

「すみません、わざわざありがとうございます」

「いいって、こんなの普通だろ」

書類を拾い上げ手渡したシャルルカンさんだったが、俺の顔を見るなりあ、と声をもらす。
この反応は彼が初めてじゃないから分かるが、俺にとってあまりいい結果をもたらさない。

嫌な顔をしても始まらないから、敢えて平然を装い俺は彼を見据える。

「…なにか」

「いやァなんでも。気にしないでくれ。じゃ、オシゴト頑張…
「シャルは思った、"コイツ、ヤムとよく一緒にいるイケメンだ"」

「は！？」

ひょこっと間に入り、口を挟んだピスティさんは、人の間を掻き回すのが上手いと思う。
「ハァイ」と俺に手を振る彼女の隣で、
現にまんまと遊ばれたシャルルカンさんは「なんでそうなんだよ！」と噛み付く。

「誰もンな事言ってねーし、てか思ってもねーんだけど！」

これは否定する事が一番の肯定、というやつだ。仮に彼女とツーショットで覚えたとしたら、普通頭ごなしに否定する理由もないわけなのだから。
どうやら俺は、ヤムライハさんと居るとシャルルカンさんからはいい顔はされないらしい。
そこを詮索する趣味はないが、断っておかないと。

「仕事です、魔導書についてここ数日指示を仰いでいました」

「だから、俺は別に聞いてないっつってんだろ…ただアレだ、合同訓練の時に見た顔だなって思ったんだよ」

合同訓練…、ゾワリと背筋に悪寒が走る。

「合同訓練って？特殊部隊の？」

首を傾げるピスティさんに、彼は頷いた。

「そそ、特殊部隊とあと軍隊のな。
だよな？オマエ、将軍とこの武官じゃなかったか？」

「……。…ええ、まあ」

「だよな？そこそこ筋が良かったヤツ。
じゃあなんで…官服なんだよ？」

「それは……」

それは…なんだ。
俺は今、何を言おうとしている？

もし仮に自身の運命に絶望しているかと問われれば、俺はYesと答える。
何故なら…その内の一つが、今この場で喉につっかえているものだ。