【マギ】一官吏【男主】 (ページ3)

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3幕の羅列ページ3

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黒秤塔に位置する図書館は大きい。3階分の高さを打ち抜いて出来た天井は、首を仰け反らせて見上げるほどだ。そして、その頂点ぎりぎりまで本棚は伸びている。
圧倒的な量を誇る図書館の一角で、俺は資料を腕に抱えながら口を開く。
向かいで深刻そうに腕を組むのは、八人将が1人、魔導士のヤムライハさん。

「新たな魔導書と言うと、具体的に何処の物を？」

いい加減古いものは始末するべきだという彼女の要望を聞き、実際にこの場へ赴いたのだが。
ルフも見えなければ魔法の嗜みすらない俺には何がどう正解なのかさっぱり分からないが、情報を更新する必要があるんだとか。

イメージとしては、時代に合わせて変わる辞書の様なんだろうか。

「そうね…私が思うに情報交換が盛んな、国営の出版社の物がいいかしらって。研究者の素質の一つは視野の広さだもの」

なるほど、確かに一理ある。
となると、魔法の研究が盛んな国を幾つかピックアップしておく必要があるのか…
生憎外交官になってまだ日の浅い身、各国の特色が頭に入りきっていない。

昼間の海のように鮮やかな水色の瞳で本棚を見渡すヤムライハさんは、続けて言う。

「あとは新しい論文も必要ね。そうだ、この前開催された学会の話はご存知かしら」

「いえ、私はあまり詳しくありませんから」

「駄目よ、なんて勿体ない！いずれ貴方にも関係してくるかもしれないんだから！」

この場合相槌が先か、館中は静かに、と窘めるべきか。なんにせよ俺が言うより早く、遮るようにヤムライハは息を吸い込んだ。
そしてその口からは、捲し立てるようなマシンガントークが急に繰り広げられる。

「あのね私もまだ詳しくは知らないんだけど、どうも理論的には瞬間テレポーテーションを匂わせているのよ。物質の情報を一度ルフに記憶させ移動先で再構築させるの！勿論人の実用は危険なんでしょうけど物だったらありえる話よとなるとまず最初に変わるとしたら物流なんでしょうね船も使わないのよ鮮度を保ったままで……」

鼻息を荒くし目を輝かせて、スイッチが入った熱弁されても、正直どうでもいい。だが彼女の言葉に熱がこもる度に、1歩、また1歩と踏みよられて、気づいた時にはもう目と鼻の先。

「ねえ！どう？未来の希望よ！凄いと思わない！？」

「ええ。ですが私とはごく近い未来の話をしましょう？…本題に戻ってもよろしいでしょうか」

「え、ええ。そうね、ごめんなさい。
…で、何の話をしていたんだっけ」

おいおいまじかよ