アリスが女王に勝つ方法

13 Alice ページ13

「ん…」

翌朝。
どうやら赤城に腕枕をされていたようで、筋肉質な感触と目が覚めた。

「おはよぉ…」

寝起きの無防備でボンヤリしてる感じを装って、赤城に抱きついて、ドキッとさせておく。

なぜかって？今私が赤城といるのは、昨日はあくまで弱っていたところにつけこんだ吊り橋効果といっても差し支えない方法だったから。

翌朝冷静になって、赤城の性格から察するに、ワンナイト・ラヴですませてしまう可能性がある。

だから。

「…な、シた後に言うのはおかしいかもしれないけど、俺たち、付き合わないか？」
「…いいよ」

正式な“恋人”になった言質をとっておかなくちゃいけない。

「ふふ、深月、よろしくね♪」

ぎゅう、と抱きついて涙目で見上げる。庇護欲を誘う。

「…なんで泣いてるの？」
「誰かと眠るなんて、久しぶり…すごく、幸せ」

これは本当。
幼い頃、親と眠ったことはあるけど、それだけだ。
すごく、幸せ。

「俺も…」

考えてみたら、深月も私と同じか、それよりも酷い孤独や哀しみと闘ってきたんだよね。

そう思うと愛着もわいてくるけど、心を許したりはしない。信じられるのは自身だけ。

まぁ、でも深月のことは好きっちゃ好きだ。ステータス的にも申し分ないし、何より、私と似ていて、予想しやすい。

こっちと本当の目的を明かして、協力者にでもなってくれたらすごく助かるのだが。

流石に今は明かさない。日が浅すぎる。打ち明けるのは、もっと私に溺れてから…

ちなみに、白石麗央には自ら手をくだす必要はない。
おおかた美春の一番弟子の玲奈辺りで事足りるだろうし、白石ホールディングスの御曹司はリゲルコスメの怒りを買うほど馬鹿じゃない。

でも、ここで気を抜いてはいけない。


ハートの女王と、まだ闘ってない。


絶対、潰してやる…っ！

私は深月の胸の中に顔を埋めて、歪んだ自分の表情を隠した。

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