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15:真実 ページ16

「私の、出来が悪いだけ……求め、られた、『ひと』になれない……のが、悪い。私が、悪いの。私が、私が……」


『灯』に成れないだけ。

どれだけ顔を似せても、性格を似せても、笑顔を真似ても、どうあがいても私は私のまま。

あのとき、否定されたままの「私」。
この身も心も生きてていいはずのないモノに、取り憑かれている。

そうだ。あの日から、「私」が亡霊になったのだ。

「……おかしいよ、そんなの」

私を抱きしめるmegaさんの手に力が入る。
震えた、泣きそうな声が染み入るように私の耳元で響く。

megaさんは抱きしめていた手を離して両肩を掴み、小さく揺さぶりながら涙ながらに訴えかける。

あなた(...)あなた(...)じゃない!!誰かの代わりなんてなれるわけない……!!世界中、どこの誰だって自分以外の人になり変われるわけないの!!!」

声を荒げたmegaさんの言葉に、胸の中心がジクジクと傷口が膿んでいくような鈍い痛みに襲われる。
なんだか息苦しい。なんでだろう。
生きていくための、根本を否定されたような、「お前はだめだ」と言われたようなそんな気持ちになる。

「………なら」

心の壁のような、皮膜のようななにかが、ガラガラと崩れ去っていくような絶望感に目の前が真っ暗になる。


「私は、なんのために生きてるの?」


私の人生の目的は、『灯』になることなのだから。





「私は、なんのために生きてるの?」

ぽつり、と水面に落ちて波紋を広げていくように静まり返った部屋の中に行き届いた声は、この子の壮絶な過去を想起させるものだった。

『誰かの代わりになる』こと。それが生きる目的。
彼女は、どうやら本気でそうだと思っているらしい。

それは多分、本人たっての意思ではなくて誰かに強制されたもので、おそらくその事にも彼女は気がついていない。

自分より大きな存在の圧力には、屈することしか知らない時期に、そんな思考を植え付けられてしまったから。

彼女の生き様はあまりにも無謀すぎて、私は言葉が出なかった。喉元で詰まってしまった。

私には、彼女を救える言葉をかけることができない。

直感的に、そう理解してしまったから。

このヘドロ質の暗くて重くて、その膜に包まれた根本にある黒い塊は、私には触らないだろうから。

実況者「九血鬼」として、人並みに生きていくことができた私には。

いや、恐らくこの場にいる誰もできないかもしれない。

それくらい、深い深い傷跡なのだ。

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作者名:あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時:2019年3月23日 14時

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