19、悪意の胎動 ページ21
その後、緑谷くん以外に大きな怪我もせずに訓練は終わった。
集団に囲まれるという最悪の事態を回避すべく、みんながコスチュームから着替えているうちにさっさと教室へ戻り、みんなの机の上に個々の講評を纏めたレポートを忍ばせておいた。
友達が欲しいと思う割には自分から他人を遠ざけてる気がする。
それより緑谷くんは平気かな。リカバリーガールに治してもらっているのかな。
お見舞いに行ってみようかな……でも友達でもないのに心配で来ましたなんて言ったらきもいかな。
もんもんと考えながら時を過ごし、放課後になると緑谷くんが右腕にギプスを付けて教室へ戻ってきて、よっぽど大丈夫か声をかけようかと思ったけど、やっぱりやめた。
緑谷くんも私に話しかけられたら迷惑だよね、芦戸さんや切島くん？や砂藤くん？にめっちゃ話しかけられてたし。
今日は薬局に寄って、それからスーパーに行こう。
夕飯はカレーにしよう。
そう決めて、私は鞄を手に一人で教室を後にした。
この時の私は、知らなかった。
真に賢しい敵の恐怖と……それがもたらした混沌を。
「なァ、どうなると思う？平和の象徴が……敵に殺されたら」
＊
「さてHRの本題だ…急で悪いが今日は君らに…学級委員長を決めてもらう」
「学校っぽいの来たーー！！！」
次の日。消太さんのお達しに一気に湧き上がる生徒たち。
みんながみんな両手万歳で立候補して行く中、私は椅子に縮こまって事の成り行きを見守る。
なんでそんなに立候補するのかわからない……。
「多を牽引する責任重大な仕事だぞ…！やりたい者がやれるモノではないだろう！！周囲からの信頼があってこそ務まる聖務…民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら…
これは投票で決めるべき議案！！」
「そびえ立ってんじゃねーか！何故発案した！！」
飯田くんの対案にさらにクラスが盛り上がる。
結局投票が採択され、一人ずつ候補者に投票するこもになったけど……
(緑谷くんでいいかな……他の人よく知らないし、麗日さんは立候補してないし)
適当な気持ちで投票をしたら、緑谷くんが四票、八百万さんーー後ろの席のポニーテールの女の子が二票、他は一票ずつと、緑谷くんが当選。
とりあえず爆豪くんにならなくてよかったと安心した。
＊
この後お昼にマスコミがセキュリティを突破してきたり、その件で委員長が飯田くんになったり、いろいろあって午後の授業になりました。
……午後になってしまいました。
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作者名：あんぴーなっつ | 作成日時：2018年10月8日 19時
