何が悪なのか？【青葉城西】 (ページ5)

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4,喧嘩ページ5

「えっ……これ、どういうことなの？」

スポドリを作って入れてたであろうペットボトルに、
蜂蜜が入っていた瓶が割れ、
部員が使うビブスやタオルが散乱している。
それに駆け付けた及川さんや俺は、失笑してしまった。

すぐに失笑をやめた及川さんは、三人を真剣に見つめる。
あの真面目そうにしてなかった二人はニヤっと笑い、
真面目そうな子は「なんだ……？」というような目で及川さんを見ている。

「うう……。蔦桐さんが、
　『私、部員目当てで入ったから。
　バレーなんて、どうでもいいの。私の当て馬、よろしくね。』
　と、言われて……。ペットボトルとかを、投げたんです。
　私と榊さんが止めようとしても、聞き入れてくれなかったんです。
　それで、私と榊さんがけんかになってしまいました。」

あの真面目そうな子が蔦桐さん、しゃべったやつの名はわからないけど、
もう一人の真面目そうじゃない女子の名前は榊さん、というらしい。

俺から見たらウソ泣きをしているだけに見えている泣き方だが、
及川さんはどうしようかと、あの涙に心を動かされてようとしている。
明らかに、及川さんは動揺していた。感情に疎い俺でさえわかる。

「そ、そんな……。
　私はそういうことなど、やってておりません！」

涙があふれそうな目で俺たちを見てくる蔦桐さん。
俺は正直言ってこっちを信用したいが、
なぜかできてしまったやじ馬が「榊さんたちを安心させろ」
みたいな雰囲気になってしまったため、どうすればいいのかがわからない。