真夜中のオカルト公務員−短編集−

心配くらいさせろよ3＊セオ ページ9

sideA


セオの家にて。


セオ「A」


『？』


次の瞬間セオに抱きしめられた。


セオ「よかった…」


『えっと…』


セオ「Aが倒れた時、肝が冷えた。オレが、ちゃんと止めてれば、もっとAを見てたらって、後悔した。」


『うん。』


セオ「だからさ、頼むから、無理はしないでくれ…！お前の彼氏なんだから、心配くらいさせろよ…！」


『ごめんね。』


セオが、本気で心配してくれたことがすごく伝わってきた。


セオ「わかればよし。んじゃ、風呂入ってこい。」


『…ん。』


風呂上がりにはいつも通り、セオが髪を乾かしてくれて、ベッドに向かった。


ベッドに寝転がった瞬間、セオが覆いかぶさってきた。


『…！？寝るんじゃないの？』


セオ「寝るよ？その前に…無理したお仕置き。」


セオからキスの嵐が降ってきた。


『んっ…ちょっと、セオ…！ぁ…んんっ…』


セオ「っ…ん………ん、んん…」


ちゅ、ちゅ、とわざとたててるとしか思えないリップ音。


息苦しいし、恥ずかしいしでいろいろ限界なので、セオの胸を叩く。


セオ「…んで？懲りた？」


『…はい。』


セオ「ま、今日は疲れてるだろうからここで辞めといてやる。けど、回復したら…覚悟しとけよ？｣


うわあ…これ、フルコースだ…


『ん。』


セオ「んじゃ、今度こそ寝るぞ。」


『うん、おやすみ。』


セオ「ん。おやすみ。」


sideセオ


あっぶなかった…


Aは籠りっきりで、しばらく恋人らしいこともできなかった時にあれはまずい…


何度もあれくらい、いや、あれ以上をしてるのに、キスひとつで真っ赤になるAは心底可愛い。


その上涙目ときた。


男としてはやっぱり唆るわけで。


しかも、自分が本気で愛してる女となれば余計にそうなる。


病み上がり…しかも睡眠不足でもある彼女を無理させる訳にはいかなかったからあそこで留まったけども、自分の理性を褒め讃えたい。


いや、マジで。


なんて、Aの髪を梳きながら考える。


たしかに、Aは並々ならぬ才能がある。


さらに、好奇心は人の何倍も強くて、努力家で…いつも、周りを見ている。


にこにこと笑顔を絶やさなくて、頭の回転もはやくて。


でも、自分がどれほど大切にされてるのか、わかっていなさすぎる。


だから平気で無茶をする。


まあ、どれくらい大切にされてて、好かれてるかなんて、オレが教えていけばいいんだけど。

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