34、まるですとーむ ページ34
××
というか、自分が昼休みまで気絶していたという事実にショックを受けた。いや……これはこれでか弱いヒロインっぽくて……いやか弱いヒロインはあのタックルを受けたら骨折するだろう……
「さあ早く言え！人間！人間の時間は有限だぞ！」
「エッ！？えっと……はい……あの、実は……私は異世界からここに飛ばされて……あの、それで井戸の中に飛び込めば元いた世界に戻れるかな〜なんて……へへ……」
「井戸の中に飛び込んだら死ぬに決まっているだろう」
ごもっともです。
しかしそんな真顔でド正論を吐かれては居たたまれないというか、恥ずかしいというか……はい。
「余程帰りたいようだな」
帰りたい。確かに監督生くんやシャンデリア男と出逢えたことは嬉しいし、魔法にも興味はある。それでも私は元の世界に未練があるのだ。どうしても叶えたいことがひとつだけあるし、コナンの最終回だって見届けたいし。いつ完結するんだろう。コナンくんもう二十年以上小学生のままだよ。
「人間の事情は分かった。しかし！自らの命を捨てようとするなど有り得ん！」
「いや、だから命を捨てようとしていたわけじゃ……」
「はっ……！もうこんな時間ではないか！
若様だって遅刻などしていないというのに僕が遅刻をするなど一億万年早い！」
(まじで人の話を聞いてくれない)
やつは嵐のように現れ、嵐のように去って行った。
だけどこれでやっと落ち着ける……はあ、全く今日はなんて日だ。ここに来てからロクなことがない。最もロクなことがなかったのは元の世界でも同じだったんだけど。
「───Aくん！聞きましたよ！！
井戸の中に飛び込もうとしたんですってね！？
もう何をやらかしてくれているんですか！」
(……また面倒なのが来ちゃったよ……)
「ですが怪我もないようですし、本当に良かったです。監督生くんにはまだ伝えていませんが、校内どこを探しても見当たらないって心配していましたよ」
「うっ……」
随分心配をかけてしまったらしい。
けれども、この事は知らないみたいで良かった……さっきの男子生徒もこの不審者も私が死のうとしていたと完全に勘違いしているようだし、何より監督生くんにだけは知られたくない。
「それで？体調の方は如何です？」
「は、はい！元気です！そ、掃除してきます！」
「え、ちょ」
「あばよ！」
私はベッドからジャンプして、そそくさとその場から立ち去った。
**
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柊あんず(プロフ) - 洸さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありません…画力やばいですよね…表紙絵見るたびに惚れ惚れします…更新頑張りますね…！！ (2022年5月5日 17時) (
レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
洸 - 待て待て待て待て画力チートか？画力高杉な？めちゃくちゃ綺麗じゃないっすか。話も素敵です！更新待機。 (2022年4月24日 16時) (レス) id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 櫻陽花さん» コメントありがとうございます！ただいま訂正させていただきました〜！ありがとうございます (2021年3月29日 15時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
櫻陽花(プロフ) - 序盤の鉱山内での台詞ですが…5年ではなく10年だったと思います…… (2021年3月28日 21時) (レス) id: 07bd924354 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 鮎さん» コメントありがとうございます〜！襲いくる数々の理不尽…！耐えるんだ！多分、三章くらいではメンタルムッキムッキな女の子になっていると思いますね(遠目) はい、更新頑張ります…！！ (2020年6月28日 1時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず
| 作成日時：2020年5月30日 23時
