検索窓
今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:736 hit

序章 ―Prolog― ページ2

「……」


光を失った目で、子供は天を見上げた。


「……!!」


そこにあるのは、天井だけ。教会のような天井に阻まれて、空が見えない視界は、靴裏で黒く塗り潰された。


「……う」


子供の身体は踏みつけられ、もう既に傷痕だらけの小さな身体に、更に新しく靴跡がついた。
つけた本人は何も思わず、子供の細く、折れそうな身体を傷つけた。


「……! ……やめて……」


喉がからからに乾いて、無理矢理声を絞り出せば一緒に赤い血も流れ出し、口の中が鉄臭くなる。元々この教会自体が鉄臭かった。否、教会のような建物というべきか。


「……痛い」


どろり、と喉の奥で渦を巻いたその液体を、子供は目の前の冷たい床に吐き出した。


「……痛い……!!」


自分が悪い、と言われた。

何もかも自分のせいだと。

殺したのは――自分だと。


「……ちが」


違う、と否定しようとしたのか、血が、と呟いたのか。


自身の血溜まりの中に顔をうずめて意識を手放した、子供の真意など知る術もなかった。


残された者は、動かなくなった玩具(おもちゃ)からゆっくりと足を離す。


そして、退屈そうに呟いた――

 


“誰が、駒鳥殺したの”と。
 

始まり ―Stuart―→←設定 ―Profeel―



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:不思議の国のアリス , 童話 , おとぎ話   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:くろーさぎ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年7月29日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。