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序章 ―Prolog― ページ2
「……」
光を失った目で、子供は天を見上げた。
「……!!」
そこにあるのは、天井だけ。教会のような天井に阻まれて、空が見えない視界は、靴裏で黒く塗り潰された。
「……う」
子供の身体は踏みつけられ、もう既に傷痕だらけの小さな身体に、更に新しく靴跡がついた。
つけた本人は何も思わず、子供の細く、折れそうな身体を傷つけた。
「……! ……やめて……」
喉がからからに乾いて、無理矢理声を絞り出せば一緒に赤い血も流れ出し、口の中が鉄臭くなる。元々この教会自体が鉄臭かった。否、教会のような建物というべきか。
「……痛い」
どろり、と喉の奥で渦を巻いたその液体を、子供は目の前の冷たい床に吐き出した。
「……痛い……!!」
自分が悪い、と言われた。
何もかも自分のせいだと。
殺したのは――自分だと。
「……ちが」
違う、と否定しようとしたのか、血が、と呟いたのか。
自身の血溜まりの中に顔をうずめて意識を手放した、子供の真意など知る術もなかった。
残された者は、動かなくなった
そして、退屈そうに呟いた――
“誰が、駒鳥殺したの”と。
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