３つ ページ3
「……ん」
重たいまぶたをあげると、ボヤけた視界に最初に映ったのは木の壁だった。やはり、夢ではないらしい。
体を起こすと、誰かがかけてくれたのであろう毛布がずれ落ちた。よく見たら下はベッドだ。
「あら、目が覚めた？」
「えっ」
女の人の声で、ボーッとしていた思考が一気に回り始めた。弾かれたように声の方へと向くと、なんとなく見覚えのある黒髪の美人さんがこちらへと歩み寄ってきていた。
「大丈夫？体調はどう？」
「えっと、おかげさまでとてもいいです。ここは……」
「私の部屋よ。私、マキノっていうの」
ここはあの『ONE PIECE』の世界。その名前を、ファンである俺が知らないわけがない。
思わず顔がにやけそうになる。やっぱり実物は想像以上にかわいい。
「よろしくお願いします、Aです」
「Aちゃん、ね。小さいのに丁寧なのね」
ちゃん、と続けられた名前。
小さいのに、という言葉。
それに先ほどから気になっていたが声も前世よりだいぶ高い。
ちらりと自分の体を横目でみる。バレーボールも片手で持てないであろう、小さな手。
……確かに子供なら、いろいろと生活しやすいか。うんうん……そういうことだよね。
「どこからきたの？浜辺に倒れていたけれど……」
「……その、あんまり覚えてなくて。な、名前は覚えてるんですけど。それだけで」
まぁ絶対くるだろうなと思っていた質問に、慌てて困った笑みをつくる。優しいマキノさんは、そんな怪しさ満載な嘘に「そうだったの……可哀想に」と眉を八の字に曲げた。
「まだ子どもだし、記憶が戻るまでうちにいたらいいわ」
「えっ、い、いいんですか？！」
「そのかわり、みっちり働いてもらうけどね」
にっこりと笑うマキノさん。
なんだこの人、優しすぎだろ。
俺は「はい！」と子どもらしく、元気よく頷く。
俺の心はわくわくしすぎて、叫びたい気持ちでいっぱいだった。久しぶりにこんなにはしゃいでる。
仕方ない。あの憧れの世界に来れたのだから。
「あの、トイレお借りしてもいいですか」
「いいわよ、部屋を出て右の行き当たりにあるから」
だからこそ、俺は一つのことが心配でしかたなかった。
トイレに行き、パンツを下ろす。そして、思い切って着せられていたワンピースの裾をめくる。
「……いやなんで女の子になってんの？！？」
どうりでスースーするわけだよなぁ！！！
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Ciel - 面白いです！便新待ってます。頑張ってください！ (2021年9月2日 0時) (
レス) id: b6f6449f96 (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好きwoman - とっっても面白いので早く続きが読みたいです！更新頑張って下さい！ (2020年3月8日 2時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北乃 | 作成日時：2020年2月1日 11時
