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前世は、お世辞にも楽しいとは言えなかったかな。
高校出る時まで、俺は日常的に母さんから虐待もどきを受けていた。家事をしていると物が飛んできたりとか殴られたりとか。あとはお前のせいで父さんはいなくなったんだって暴言吐かれたり。
俺を懐妊中に父さんは蒸発したらしい。それによって母さんは鬱になってしまった。全ては俺が生まれてきたせいなので、俺は反抗など考えたこともなかった。
まぁ、そんなのも二年前の話で。
今は普通に工業大学の二年生として楽しくやっていたのだが、
夏休み、友達と海に遊びにきていた俺は、大波に呑まれそうになっていた女の子を助けに行って死んでしまったーーらしい。
と、いうのもそれを今聞かされたばかりなので、あまり実感は湧かないのだが。
「じゃあ、俺なんで生きてるんですか？」
あまり頭の中を整理できていないまま、目の前で土下座をしている美女に問いかける。
彼女曰く、生と死の女神？らしい。
「大変申し訳ございません……！わ、私の手違いでして……」
「はぁ……？」
要するに、俺は本来死ぬはずではなかったが手違いでこうなってしまったため、この生と死の狭間に到着したんだとか。
「手違いなんかであなたの人生を台無しにしてしまい、本当に謝って済むことでないのは分かっています」
床に額を擦り付ける女神様。女神がそれでいいのか、と思うが、そりゃそうだよなぁ。
でも自分でもびっくりするほど、なんとも思わないのだ。前世は楽しくなかったけどこれから楽しくなる予定だった。それが台無しになったわけだが、正直なんとも思わない。俺の心の中はかなり冷静だった。
もしかしたら混乱でかえって冷静になっているだけかもしれないが。
「そこでです！」
女神様はバッと顔を上げる。
「来世はあなたの望む世界へお送りいたします！それからあなたの望む"祝福"をお贈りいたしましょう！」
「え、まじで？」
「はい！マジです！また地球にお送りすることもできますし、剣と魔法の世界とか異次元でも！」
フンス、と鼻息を上げて俺の顔色を伺う女神様。
「それってさ、漫画の世界とかでもいいの？」
「はい！もちろん！」
中学生の俺の目の前は、いつも真っ暗だった。毎日死ぬことばかり考えていた。そんな日々に光を与えてくれた漫画。
あの人たちみたいになりたくて、女の子を助けに行った前世。
「じゃあ、ONE PIECEの世界で」
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Ciel - 面白いです！便新待ってます。頑張ってください！ (2021年9月2日 0時) (
レス) id: b6f6449f96 (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好きwoman - とっっても面白いので早く続きが読みたいです！更新頑張って下さい！ (2020年3月8日 2時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北乃 | 作成日時：2020年2月1日 11時
