27 ページ31
__
田「……ぐっ!?」
田噛は思い切り後方へ吹き飛ぶ。
解放された平腹は分けが分からないという顔をしていた。
佐「神影ちゃん!?」
斬「…?」
「平腹は乗っ取られてないよ、
だって現に私を見て驚いているし」
佐「…あ、確かに」
どういうことか。
もし平腹が乗っ取られているのなら
私たちを見て驚くはずないし…
だって一度会ってるからね。
しかもだよ、田噛はその場に居なかったのに
なんで"また"って言ったのかな…?
田?「あーぁ…バレちゃった」
そう呟いて、田噛__否、
あの幼い亡者は立ち上がった。
田噛に似つかわない嫌な笑みを浮かべて。
斬「亡者…」
田?「おねぇちゃん、何で分かったの?」
「私の幼馴染みを見分けられないわけないから」
田?「幼馴染み?あぁ、大切な人ってこと?」
「もちろん、田噛だけじゃなくてこの場の全員もね」
田?「そういうのって、嫌い」
低く、鋭い、田噛の声に少し身体が硬直した。
でも一瞬のことで私はバールを握りしめる。
田?「じゃあさおねぇちゃん…ゲームしようよ」
斬「神影、乗るな」
田?「おにいさんは黙って。
いい?この奥に最後の扉があるの……
おねぇちゃん一人で入ってきて?」
「……」
無邪気に笑うその子に、私は溜め息をついた。
それは苛立ちからで…
「分かった…」
佐「神影ちゃん、罠だよ?」
「……ただし、私からも条件がある」
自分のものとは言えない、
それほどの低い声で言い放った。
佐疫と斬島はそんな私を驚いて見つめる。
平腹はまだ分けが分からないのか首を傾げていた。
「誰かを乗っ取るのをやめて、素で戦え」
田?「ふふっ勘がいいね、いいよ」
そう言ったあと、田噛が倒れ込んだ。
急いで駆け寄るとどうやらあの亡者は出て行ったようだ。
斬「一人か…神影、本当に行くのか?」
佐「万が一って事もあるよ?」
「大丈夫、私勝つ自信あるんだ」
二人にそう笑ってみせる。
平「ねぇねぇねぇねぇ!!!なんの話!!?」
と、いい感じの雰囲気をぶち壊すのは平腹。
私の首を締めたことは記憶に無し…。
まぁ…仕方ないか……
「とでも言うと思ったか!!!!」
平「痛ぇ!!!!」
「私の首を締めた罰だ!」
平「えっ!?ごめん!!?」
頭にハテナマークを浮かべながらも平腹は必死に謝る。
私はバールを握り締めながらギチギチと歯を食い縛った。
25人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆっきい - 田噛がイケメソすぎて涙出てきたお、、、、、 (2016年9月17日 9時) (レス) id: 0db5e774af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:燐音 | 作成日時:2015年7月4日 16時