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「何だろう、これ…『
精巧なアイシングが施されたクッキーの裏面には、どれも皆同じ言葉が書かれていた。
「…この世界での名前のこと、かしら」
ロザリアが呟く。
「この世界の人間として、書類や生活も勿論だけれど…今の私たちに無いものは、『名前』だわ。私やチェシャはともかく、
「確かにな」
「年齢を考えたら陛下も、いきなり一人で生活してるって訳にもいかねーか」
「ええ。それに、どういうわけかこのクッキーには
ロザリアが考え言った言葉には確かに辻褄が合っているように感じられた。この世界と己を繋ぐ名前、繋がり。全員が考え込む中、口火を切ったのはアリスとリカだった。
「ハッターとスーリ、マーチは親子…じゃないか、兄弟？」
「チェシャくんとローズちゃんも兄妹で通じるんじゃない？ 二人とも赤系だし」
「お姉ちゃんそれ関係ある？」
リカはにっこりと笑って言った。
「保護者は全員、『遠い親戚』ってことで、あたしね。この歳になって家族が増えるなんて楽しいわ」
思い切りの良いリカのセリフに、皆が反応出来たのは少し経ってからだった。
「ネズミ、ハッターの子になるの？」
「違うよスーリ、お父さんじゃなくてお兄ちゃんって呼んだ方が」
「いやいいから普通に呼んでくれ」
「オレと陛下が兄妹…？」
「全く似ていない兄妹になりそうね」
めいめいに戸惑いながらも、その表情は心なしか軽いものになっていた。ようやく、この世界でホワイトを探す大前提が整ってきているのだ。
「さ、それぞれの部屋割りも考えないとね。部屋を案内するから着いてきてちょうだい」
「はーい！」
マーチとスリーピーの二人が元気よく手を上げたのに合わせて、皆が席を立った。
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作者名：ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年7月22日 15時
