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「告白? …って、なんでオレに?」
「ほらこういうとこだよ…」
「言ったろ、チェシャには危機感が足りなさすぎる」
「危機って何だよ、ホワイト探しならちゃんとやってるぞ。…成果はねーけど」
「そういうことじゃねぇ!」
帰宅後のリビング。
アリスとハッターははあ、と溜息をついた。
「あのな、俺たちは今、アリスに多大なる迷惑をかけてるんだ」
「迷惑ぅ?」
「年頃の女子の集団ってのは恋愛事が大好きなんだ。そこに俺たち2人が転入してきて、少なくともアリスと知り合いなことは周知の事実になってる。で、お前は知らんが俺はそれなりに『恋愛対象』に入れられて女同士のいざこざに巻き込まれたこともある」
「そりゃオマエはそーでしょうけど」
チェシャはハッターにじっとりとした視線を送る。白い陶器のような肌、エメラルドの瞳を縁取る長いまつげがパチパチ揺れる様は男女問わず魅了するほどに美しい。
「そこだ。今は俺だけじゃなく、お前もそういう『対象』に入ってるんだよ」
「はあ?」
「背もそれなりに高い、見た目も悪くはない、おまけに中身は歳上なもんだからそれだけで魅力的に見えるもんなんだよ、10代の女子ってのは」
「…つまり、オレが最近ちらちら視線を感じるのは…」
「ま、そういう事だな。人生初のモテ期だぜ、おめでとさん」
投げやりに言うハッター。アリスは「チェシャもかっこいいと思う、よ? クラスの子たち騒いでたし」とフォローだか何だか分からないことを言った。
「なるほどなあ。最近、クラスの男子に睨まれてたのもそれのせいか」
「睨まれた?」
「いや、大したことじゃないんだぜ?『白羽が本命のくせにアイツに手出しやがって』とか何とか言ってたが」
「それ! 喧嘩売られてるじゃない!」
「お前、マジで面倒ごとに巻き込まれんのが得意だな!?」
「だーっ、知るかよ10代の恋の悩みなんか! オレの10代は剣の修行で消えてんだ!」
「嘘つけ、お前しょっちゅう城抜け出して遊んでたろうが!」
ハッターが頭をぺしんとはたく。チェシャは「いってぇ!」と頭を押さえて大袈裟に喚いた。
「…とにかく、俺とお前は今クラスの女子から好意を向けられているんだ。それなりの人数からな。さて、そんな高嶺の花が1人だけ特別扱いをする女子がいたとしたらそいつは何者だ?」
「何者って、そりゃオレらの
「やっと気付いたか。そうだ、アリスは今、クラスの女子から敵視されつつある」
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作者名:ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年7月22日 15時