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｢と、言うわけなんだよ｣
｢なるほど。あんた凄い冒険したんだね。あ、あたしはリカよ｣
事情を説明すると、リカは納得してくれた。全員が名乗り終えた所で、アリスに向き直ったリカは、
｢知らない人を追いかけていっちゃダメでしょ！｣
と、アリスを叱った。
確かに昔助けて貰った人かもしれない、という理由があったにせよ、知らない人である可能性があるのに、追い掛けて行ってしまうのは危険だ。
リカの言い分に、アリスは素直に謝った。
｢分かればいいの。で、ハッターさん達はどうしようか……まぁ、部屋は幸い余ってるし、好きに使ってもらおうかな。と言っても、片付けないといけないんだけど｣
｢確かに、部屋はあるもんね｣
｢え、急に来た俺達が、ここに居ていいのか！？｣
｢もちろんよ。アリスが世話になったみたいだし、いくらなんでも、行く場所がない人達にそれは失礼よ。ともかく、アリス、部屋を片付けてきて｣
｢うん、わかった｣
驚くハッターに、リカは当然、と言ったように告げ、アリスへ部屋の片付けを指示する。アリスは、リカから理解が得られたこと、ここにハッター達が一緒に住んでも大丈夫、ということに、自然と顔がほころんでいた。
その顔を見たハッターは、ドキッと自分の心臓が跳ねるのを感じ、すぐにアリスから視線を逸らした。顔が熱いし、心臓の鼓動が早い。これは、この、気持ちは。
(ハッター達はここで暮らすなら、名前、考えないといけないよね。部屋の片付けが終わったら、改めて話そう)
そんなハッターの状態を知らないアリスは、これからのことに、ワクワクしていた。自分の知っている場所に帰ってきて、姉にも会えて。アリスは、ホッとしていた。しかし、それ以上にハッターが、彼らが一緒に居る事が、何よりも嬉しく思っている。
(ここがアリスの世界、か……)
知識を得ても、実際に見た訳では無く、初めて見るも同然なチェシャ達は、キョロキョロと辺りを見渡しながらも、部屋を片付けるというアリスに着いていくのだった。
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作者名：ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年7月22日 15時
