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初めて食べる和食、ということで焼き鮭と味噌汁、白米の朝食はおおむね好評を得た。例外として焼き鮭の骨を3人分とるのに苦戦したハッターと、それを待ったせいでなかなか食べられなかった幼い二人からは食べるのが大変だと意見が上がったが。
ひとしきり初めての体験に盛り上がりながら朝食を終えた一行は早速服を着替え、街中へ出ることになった。
ハッターが奇抜な柄のスリーピーススーツを取り出すのをどうにか無難な柄シャツとスラックスに軌道修正し、ドレスしか持ち合わせがないローズと彼女に高価なアクセサリーをつけさせようとするチェシャにお下がりのワンピースを押し付けたアリスはすでに疲れ切った心地だ。
(ハッターのセンス悪いの…
彼の服は誰もがお世話になるシンプルイズベストな量販店、ユ○クロで揃えてもらおう。無地をメインに取り扱う店ならそこまでの事故は起こらないと思いたい。
アリスは決意を固めて拳を握りしめた。
「これが"車"…! すごい、あんなに早いなんて!」
「おうだんほどう、…あった」
「二人ともはしゃぎすぎだ、手を離すなよ」
当のハッターは両手を子供たちと繋ぎすっかり保護者が板についている。歳の離れた兄弟のような様子にすれ違った人が和やかな視線を向けていた。
「へい…愛華、お荷物をこちらに…貸してくれ」
「…わかっていると思うけれど、言葉遣いが不自然よ。騎斗」
「うっ…努力しま…する。アリス、準備できたぜ」
ローズからハンドバッグを受け取ったチェシャが言った。
「おっけー、じゃあ行こっか」
目指すは隣町、ショッピングモールB町店だ。
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作者名:ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年7月22日 15時