1-2(ユエル) ページ2
｢なるほどな｣
｢え？｣
｢この世界の事、分かったぜ｣
｢そうですね！｣
｢ネズミも、分かった！｣
｢凄いのね｣
口々に言われたアリスは分からなかったが、先程までテレビを興味津々につついていたロザリアも、納得しているし、トラックの音に驚いていたハッターやチェシャも、驚かなくなっている事をみて、アリスはもしや、と思う。
｢分かったの？この世界のこと｣
｢おう。まだ何か頭痛ぇが、この世界の事は把握した｣
｢なら、良かった。で、とりあえず来てもらったはいいんだけど……どうしようかな｣
アリスの言葉に、チェシャ達は同意した。現実世界に来たはいい。知識も何とかなった。しかし、ここからどうすべきか。
｢そういやアリス。お前、姉がいるとか言ってなかったか？｣
｢お姉ちゃん？今は仕事に行ってるから、帰ってくるのは、もう少ししてからだよ｣
｢そうか。出来ることなら、早めに挨拶を、と思ってたんだがな｣
｢居ないなら仕方ない｣
そこで、ふと気付いた。ハッターとチェシャの顔が少し幼い事に。どう見てもアリスと同じくらいだ。上に見ても17、18かそこらにしか見えない。おかしい。彼らはアリスより年上だったはずだが。しかし、アブソレムの、お膳立てをしといてやろうという言葉に納得が行く。
｢とりあえず、お茶でも飲む？こっちのお茶の味、知らないでしょ？｣
その言葉に、ハッター達はテーブルを囲んで座り、アリスの淹れたお茶――どこにでもありそうな、スーパーで箱入りになっている緑茶を飲むのだった。
ちなみに、チェシャやハッターは慣れたら飲めるといっていた(チェシャは舌先を火傷しかかっていた)。マーチとスリーピーは、少し苦い、と言っており、ロザリアは美味しいと言っていた。
｢緑茶は、
なんて言って話していると。
｢ただいまー！｣
元気な声が聞こえた。そして、すぐにその声の主は現れ、
｢ちょっとアリス！？あの大量の靴は何！？というか、この人たち誰！？お客さん！？｣
質問攻めだった。しかし、当然の問いとも言えたので、どう答えようかとハッター達が思っていると。
｢お姉ちゃん。今から話すから、聞いてくれる？｣
アリスが話し出した。アリスの姉――白羽リカも彼女の真剣な眼差しに、話を聞く姿勢になったようだった。
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作者名：ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年7月22日 15時
