【kgm】社長がダチとかラノベかな？

EP.12_1 ページ39

『あ、あー。聞こえる？』

「聞こえてます、お疲れ様ですー」

『お疲れ様ー』


　仕事終わり。彼女から「電話をする時間と体力はあるか」と連絡が飛んできて、「今すぐにでも大丈夫ですよ」と返したのが数秒前のこと。大量のカード片手にスマホにイヤホンを繋いで応答をしていた。


『いやぁ最近さぁ、色々あって疲れてきちゃって。私も後輩増えてきてさ、前にアキバで会った中村ちゃんとかさ。色々といるわけで、悩み相談みたいなの受けることも多くなってきたわけよ』

「はいはい」

『そんでさぁ、とある後輩ちゃんから凄い相談を受けるのね。その子結構メンタル弱い感じでしょっちゅう相談したいことがあるんですってご飯とか誘ってくるの』

「なるほど。良いことじゃないですか、信頼されてるというのは」

『いやそうなんだけどさ……で、その後輩ちゃんの件に重ねてうちの部署の一部の人達の間で人間関係めんどいことなってて。私が仲介人っぽくなってるというか……相談相手になってるというか』

「あら、大変ですねぇ」

『そうなんだよ……！ 相談受けてる間はずっと相手のことを真剣に考えてなきゃいけないわけじゃん。同時期に一件だけならまだしも、複数件に並行して関わって話聞いて頭回して……ってやっててさ、なんかもう疲れきっちゃって。』


　なるほどなんとも真面目なAらしい。普段は仕事以外何もかも適当な癖して、そういう時は真剣に話を聞いて一緒に解決策を考えてくれる。だからよく人から頼られていて、以前「めっちゃ嬉しいけど疲れるわ」と溜息混じりに笑っていたのを思い出す。今回はその時よりも色々と面倒になった感じか、大変だな。よくもまあそこまで人の為に何かをできるな、というかよくそこまで人を懐柔できるな。相談役になるのって結構難しいというか、そんじょそこらの信頼関係じゃ成し得ないことだと思うんだけど。彼女の人間性は万人に漏れなく信頼感や安心感を与えるんだろうか。


「なるほど。……いやお疲れ様ですよ本当に、よくもまあそこまで人の為に何かできますよね」

『何かせざるを得ないって言うかさ……気が付いたら身の回りに依存気質な人がスポーンしててさ、それに最初の方気付かずうっかり優しくしすぎちゃって依存されてキツくなって距離置いてを繰り返して……後輩ちゃんがまさにそれ。心弱いっぽいから拒絶出来ないんだよ、変にズバッと言うこともできないし』

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