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貴方side
「こら!起きなさい!!」
『っ、!?』
深い眠りについていた私の耳元で普段聞く声よりも少し高めな忠告の声が聞こえた。
腕を枕にして顔を隠しながら寝ていたため、顔を上げると既に誰も教室には残っておらず、斎藤くんは机の縁にちょこんと顔を覗かせている。
斎藤「Aちゃん、よく寝てたね?終礼からもう10分も経っちゃってるよ」
『ん、ぅ‥』
斎藤「っ、ほら、先生に呼ばれたの覚えてる?そろそろ行かなきゃ」
優しく肩を叩いて起こそうとしている斎藤くんの手は見た目以上に骨張っていて、やっぱり男の子なんだなあと実感させる。
『あと10分だけ‥』
斎藤「え!?まだ寝るの!?」
『明日でも良いって言ってたから、良いでしょ?おやすみ、斎藤くん』
斎藤「え、ちょ、Aちゃん!?」
春眠暁を覚えず、春はとにかく眠たい。
斎藤くんの声も睡眠の要素の一つとなってしまい、再び瞼を閉じた。
ーーー
斎藤side
「まじか、Aちゃんまた寝ちゃったよ‥」
入学してから会話の渦の中心となっていたAちゃん。
彼女自身は気が付いてないが、大半の男が彼女に惚れている。‥俺もその内の一人なんだけどなあ。
目の前の寝顔をじっくりと見られるのは俺だけの特権、ということにして許して欲しい。この一分一秒は、誰にも譲れない。
「いつになったら、気付いてくれるかな。まあ、気長に攻めていきますか‥」
純真無垢な君に愛を注ぐまで、あと何分かな。
寝息のみが鼓膜に響く教室で、甘い音が一音、垂れ落ちた。
諦めたらそこで試合終了? °バニラ_gt.vo→←放課後マリアージュ 斉唱箱庭_gt.vo.
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作者名:AliCE | 作成日時:2022年12月23日 19時