[△] お兄さんと私。

珍しい。_Yoohei ページ42

「……｣

『…、』

夜の11時ごろ。
こういう時間帯ってお互いテンション高い時もあるけど、
私達の場合お互いが眠たくなってきて無言になる時間。

でも気まずくはないんだよね。

黙々とネットニュースを見て、
それに出ていた芸能人のSNSを見て、の繰り返し。

スマホに夢中になっていると、
急に後ろからがばっと抱き着かれた。

『ちょっ、洋平さん、なに、』

「…っ、」

『えっ、洋平さん？、泣いてます？！』

背中にお顔を押し付けてきたかと思えば
じわっと濡れた感覚を覚えた。

「…Aちゃん、」

『、はい、』

「、なんか悲しくなっちゃった。笑」

『どうしたんですか、』

「なんかさー、ぐすっ、エゴサしてたの、」

『おお、正直ですね、』

「うん、んでさ、、俺の悪口ばっかみたいな、、」

『……えっと、具体的には、、』

「例えば…ナルシスト、とか、バンドマンが芝居って、とか、っ、」

『あ、もう大丈夫です、、こっちが持たない…』

聞いてるこっちが泣いちゃいそうだよ…
いつもへらへらしてる人の涙ぐんだ声なんて。

「Aちゃん、あのさ？」

『はい、』

「俺のこと、ぎゅってして？」

『えっ、』

「いーから、！」

『わ、分かりました。』

前に回り込んできた洋平さんのお顔は随分幼く見えて。
なんだろう、あのー、めっちゃ可愛い。ってのが本音。

”ん！”ってハグして欲しいアピールをしてくる
洋平さんの大きな身体をできるだけ包み込む。

「んふっ、やっぱハグって落ち着くね。」

『洋平さんが泣くなんて珍しすぎます。
私もよく言ってもらってるけど、無理しないでくださいね？』

子供を慰める母親になった気分だ。
何この三十代後半男性、かわいすぎんか。

『よっぽど溜め込んでたのかもですね、、』

「そうかもね…
何かと辛かったもん、Aちゃんに会えない日々が続いたりさ。」

『え、私のせいもありますか？』

「いや、そゆことじゃなくて、…寂しいな、って…」

そういうと私の服にぽた、と涙が落ちてきた。

洋平さんからは珍しい台詞が、
珍しい声色で吐き出されていって。

私が洋平さんに向かってと同じくらい、
私にこんなに浸ってくれてたんだ、なんて思ってしまって。

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