56 ページ22
「君らしい答えだ。」
そう言って安室さんは私の腕を離した。安室さんもきっと、あの少年の力を信用しているのだろう。
「今日はすまなかった。近々飲み直そう。また落ち着いたら連絡する。」
本当なら今頃は美味しい焼肉屋でお肉を頬張っていたところだ。事件のことですっかり忘れていた。
安室さんに“ついでに美味しいバーボンが飲めるバーにも連れていってください。”と伝えると、少し困った顔をしながら“考えておく”と返してくれ、以前のような会話をする事ができた。
安室さんの事は人として好いているし、ぎこちない関係にはなりたくないからね。
一言挨拶をしてタクシーに乗り込み、運転手に自分のマンションの住所を伝える。
サイドミラーで確認すると、安室さんはタクシーが見えなくなるまで見送ってくれていた。
窓の外を流れるネオンを見ながら今日あったことを振り返る。
安室さんに話した内容は大きく分けて2つある。
1つ目に安室さんの正体が公安警察であり黒尽くめの組織に潜入していること。
2つ目に私がなぜ彼の正体を知っているのか。
あの説明で信用してくれてたら良いけど…まぁ普通に考えたら何こいつ状態だろう。しかし、このわけわからない状況を証明するのが私たちの存在だ。なんて複雑な世界。
また話がしたいって言ってたけど、やっぱりスコッチのことは知らないふりをしておこう。
彼に嘘が通用するとは思えないけど…。その時は「安室さん、ギター上手いんですよね!?知ってますよ!教えてください!」とでも言って誤魔化そう。
随分と遅くなってしまった。一体今は何時だろうか。スマホを取り出そうと、ズボンのポケットを探る。そういえば学校が終わってから一度もスマホを見ていない。
ロック画面を解除すると、初からの着信履歴が大量に映っていた。メッセージを見ると、“遅くなるなら連絡ぐらいしろ。”との事。時刻を確認すると、日付を跨いでいる事に気がついた。そんなに警察庁に居たのか。
なんて言い訳をしよう。初は安室さんの事、詳しく知らないし、今日のことは黙っておくべきだ。適当に友達に会ったから二軒目に行ってたことにでもしよう。
あぁ、今日は疲れた。
「すみません、コンビニ寄ってもらって良いですか?」
今日はバーボンでも買って帰ろう。
998人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
明里香(プロフ) - 56話、黒尽くめじゃなくて、黒ずくめです。 (1月3日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 47話、バッタリ再開じゃなくて、バッタリ再会です。 (1月3日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
ぺこ(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!更新遅くなってすみません…ガッツリまとめて書いて、ぶわー投稿するタイプなので…。ちゃんと完結はさせますのでもう少しお待ちください! (2022年1月8日 20時) (レス) id: a6556beed0 (このIDを非表示/違反報告)
yuki - とても好きな物語だったので更新宜しくお願いします (2021年12月24日 19時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - まあそうだよね笑面白いなあと思ってずっと更新待ってたけどこれだけ続くとやっぱこうなるよねwまあコス頑張ってw (2021年9月9日 21時) (レス) id: 8835186c97 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぺこ | 作成日時:2021年6月10日 15時