傷跡 【川村壱馬】

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・壱馬 side






『壱馬くんはさ…私のこと好き……？』





こうやって、不安げに聞いてくるのも。





壱馬「当たり前やん。なんも心配いらんから……」

『…うん、』





大丈夫だよって言っても、伝わらないのも。





全部ぜんぶ、俺のせい。






○○と出会った時、俺には付き合っている彼女が居て。




○○の気持ちも知らんで、その彼女のことを○○に相談して。




結局、その彼女に振られて。




『壱馬さんの1番じゃなくてもいいから』





○○のその言葉に甘えて、一緒に居るようになって。





自然と頭の中は○○でいっぱいになって、ずっと傍に居たいって思うようになって。





支えてくれた分、今度は俺が……って。





思って、、思ってるのに。






『壱馬くーん、』

壱馬「ん？」

『今日は自分家帰るね』

壱馬「そっか、気をつけてな？」

『心配性だなぁ、』






半同棲生活が、同棲に変わらないのは





『じゃあ、また連絡するね』

壱馬「うん。俺も連絡する」

『ふふっ、嬉しい』





やっぱり○○の中で引っかかってることがあって





その理由は……考えなくても分かる訳で。






壱馬「……はぁ、」






ほんまは帰したくなくても……




引き止められなくて。






埋まらない距離がもどかしくて。




切なくて。





でも、その何倍…何十倍も。




○○が悩んで苦しんでることに、




俺は気づけなかった。

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