傷跡 【川村壱馬】

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・○○ side





『…、、』




壱馬くんの家に入る時はいつも緊張する。



合鍵を使うこともあんまりないし……



今日はきっと、別れ話をするから。



余計に、緊張はMAX。





『お邪魔します……？』





ゲームをしているであろう彼の邪魔にならないように、


静かに入った。





『……、』





そこで気づいたのは……玄関にある靴。



もしかして今…、宇美さん？きてる……？




え、そうだとしたら…わたし帰った方がいい…？



え、それとも…いま2人の前に出て行って別れますって言った方がいい…？



そうしたら……すぐ壱馬くんは復縁出来る訳で、



すぐに壱馬くんの家から私の私物を持ち帰れば……



全部、終わる……。




大丈夫、荷物取りに来たって言えばうん。大丈夫。






『よし、大丈夫。………………かず…っ、！』





玄関で立ち尽くして考えに考えて、



やっとの事でリビングの扉を開けて………




言葉を失ったわたし。




これは…なんというか…予想外というか…想定外。






壱馬「…○○、！？」




今の状況を簡潔に言うと、


壱馬くんが宇美さんを抱きしめている…



その中に急に私が入って来たら…そりゃあ変な空気になる訳で。




あぁ……あの時帰れば良かったって後悔しても遅い訳で。





壱馬「……えっと、……」





きっと壱馬くんは今、私も宇美さんも傷つけない言葉を探してる。



でもね、どっちも傷つかない…なんてことないよ………

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