傷跡 【長谷川慎】

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・慎 side



慎「離せよ」



自分でも驚くくらいの低い声。


でも、怒りを抑えるのに精一杯で


年上だとか、目上だとか気にしてる余裕はない。



優馬「あ？誰だよ」

慎「あんたに関係ないだろ」



最低野郎から視線を○○さんにズラした時



慎「えっ！？○○さんっ、！」



○○さんの体がグラッと揺れて…



慎「……あっぶな、」



駆け寄ってなんとか支えて、顔を見れば


気を失っていた。




慎「……消えろよ」

優馬「…チッ」



短く舌打ちをしてその場を去っていった男。



俺は急いでさっき聞いた番号に電話を掛けた。



もちろん、



香織「○○っ、！」



この人だ。



慎「気失ってるだけだと思うんですけど……」

香織「パンクしたって感じか…」



ゆっくり話したかったけど、これじゃ絶対話せないし。


てか、無理して欲しくないし。



女同士の方が良いだろうし、


あの人なら安心だし…後は任せて、って思ったんだけど



香織「私じゃ運べないからさ…長谷川くん頼んでもいい？○○のこと」



って、まさかの提案。



慎「え、」

香織「長谷川くんの家で良いからさ。ゆっくりさせてあげて？あと、色々よろしくね」



"色々よろしくね"

その言葉がどういう意図なのかは分からなかったけど、


深くは聞かなかった。

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