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「重岡くん、一緒にお弁当食べよ？」
開いた口が塞がらなかった。そう、彼に話しかけたのは私がこの前見た清楚系の女の子とは全くの別人だった。訳が分からなかった。彼に限ってそんな訳あるはずない。いや今の彼はもう私のよく知っている彼ではないのだ。何度脳内で会議を開こうと私の頭はその答えを出そうとしなかった。
「おー」
彼も彼でその問いかけに普通に応じていた。
やめて、これ以上は。30人もいる場で泣きたくなんてない。脳に上手く酸素が行かない中、ふと視界の端に映った小瀧くんに目を向けた。いつも笑っている小瀧くんが訝しげな顔をしていた。ああ、きっと全て知っていたんだろう。
その日は午後からの授業をどうやって受けていたか覚えていない。家までどうやって帰ったかも記憶にない。ただ明日になればこの悪夢が冷めるのではないかと願って眠りについた。
次の日見た光景も私の脆いメンタルに衝撃を与えた。また女の子が変わっていたのだ。今度は、彼の好みとは思えない少し化粧が濃い女の子。
「ねえ大毅くん一緒に帰ろ？」
せめて過去は過去で私の中では昔の彼を残しておきたかった。それもどうやら無理なようで。
無意識でとぼとぼ歩いていたせいかその日帰ると、母は私に向かって遅かったじゃないの、なんて声をかけた。私はそれを無視して自室へ直行した。下の階から、返事くらいしなさいと怒る母の声が聞こえる。
でも今はそんなこと気にしていられない。私は大きく息を吸い込み、今日は晩ご飯いらない、とだけ叫ぶと、この後飛んでくるであろう怒号を回避するようにベランダに向かった。
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A子(プロフ) - 凜憧さん» コメントありがとうございます。お褒め頂くほどの文才はございませんが、非常に嬉しいです。励みになります。更新頑張らせて頂きますね！ (2019年8月30日 22時) (
レス) id: 3b9a42010e (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 惹きつけられるような魅力的な文章で、とても読みやすく面白いと思いました。大変かと思いますが、更新頑張ってください。続きを楽しみにしています。 (2019年8月30日 13時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：A子 | 作成日時：2019年8月29日 2時
