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開いた口が塞がらないとはまさにこの事で
「でもそんなこと一言も...！」
「お前ら、特にAには言わないように止められてたんや。余計な心配かけたくないってな。」
そんな、あの仲が良かったおじさんとおばさんが離婚してたなんて思いもしなかった。外からはわからない何かがあの家であったのかもしれない。少なくとも私には全くわからなかった。ただでさえ辛い状況だったのに私にまで配慮してくれてたなんて。
「…そうだったんですか」
「でも離婚自体は去年の夏やで」
「え？」
「でもしげが荒れだしたのって冬休み明けからやったやん」
私が思っていた疑問を横から小瀧くんがぶつけてくれた。
「離婚もまあ堪えたやろうけど何とか顔とか態度に出さんようにしてたんやわ。でも冬にお母さんが再婚してな？その再婚相手と馬が合わんらしくて、とうとう耐えられんくなったみたいやなあ。」
重岡も重岡なりに頑張ってたんやけどなあ、だなんてあんまりじゃないか。私はあんなにそばに居たのに彼の変化に気づかなかった。いや気づいていながら深くは追及しなかった。
「待って、離婚したのが夏って先生いつ頃か分かりますか？」
「あー、確か夏祭りがあった頃やったかな」
まさか。1つの仮説が頭をよぎった。あの夏祭りのドタキャンの裏にこんなことがあったなんて。私はあの時怒りに任せて彼をしばらく無視し続けた。それでも彼は何も知らない私が彼を許すまで謝り続けてくれた。
今さらどうしようもない罪悪感が胸を締め付ける。呼吸、脈拍ともに止まってしまいそうなくらいに。いっその事、止まったらいいのに、とまで思った。
後悔先に立たず、とはよく言ったものだ。昔の人の言うことは伊達じゃない。
「まさかそんなことがあったなんてな」
「...」
「...息しとる？」
「...」
「おーい」
パンッと弾けた音と共に視界が眩む。どうやら小瀧くんがねこだましを仕掛けてきたようで
「...うん、大丈夫」
「大丈夫って顔してないんやけど」
お前は何も悪くないで、
転んでしまった幼稚園児に声をかけるように小瀧くんは優しく左手で私の頭を撫でた。
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A子(プロフ) - 凜憧さん» コメントありがとうございます。お褒め頂くほどの文才はございませんが、非常に嬉しいです。励みになります。更新頑張らせて頂きますね！ (2019年8月30日 22時) (
レス) id: 3b9a42010e (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 惹きつけられるような魅力的な文章で、とても読みやすく面白いと思いました。大変かと思いますが、更新頑張ってください。続きを楽しみにしています。 (2019年8月30日 13時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：A子 | 作成日時：2019年8月29日 2時
