白烏 ２

【 日課 】 ページ38

山口の件があったものの、その後は特に何もなく明日はいよいよGW合宿が始まる

俺は長袖必須だから他の人より荷物が多い。そんな事をボヤいていたら






影「おら、行くぞ」

貴「あ、ありがと…」





影山が態々迎えに来てくれた。あの町内会の方達と試合した日から朝早くから影山とジョギングする事が日課となってる

ペース早いし、距離長いし偶に死にそうって本気で思う時もあるけど、着々と体力付いてんなーって実感出来てるからまぁ、楽しいかな



影山は日向といる時は煩いけど、バレー以外の事では大体物静か。俺も話す方じゃないし、だから一緒に居て気楽







影「今日から合宿だな」

貴「うん…」

影「合宿中も朝走んぞ」

貴「えっ…あ、うん」






影山は天才だ。バレー馬鹿で、単細胞で、けどストイックで自分に容赦が無い。妥協もしない。
だからこその実力。菅原先輩だって同じだと思うし、2年間俺達より培った経験と周りからの信頼もある


烏野の正セッターがGW中に本格的に決まって行くんだろうな。俺はどっちの味方でも敵でもない。
ただ…烏野がこれから先本当に全国を目指してやっていくつもりなら、選ばれる方は自ずと決まってくるんじゃないかな…






影「どうしたんだよ」

貴「え」

影「シワ…寄ってんぞ」

貴「いや、眩しい…だけ」




いつの間にか寄っていた眉間のシワを影山に指摘された。影山は意外と目敏いから顔色バレない様にフードを深く被った




影「…お前のそれ、アルビノ…だっけか？」

貴「うん」

影「…なんか…」

貴「…かげ、やま…？」




突然走りを止めた影山を振り返って見つめる。どしたんだ？つか俺息上がってんのに影山ケロリとし過ぎたろ、この体力おばけめ





影「真っ白だからか知んねーけど…なんかお前、光と混じって消えそうだな」

貴「……？」

影「こういうのって、なんつー言葉で言い表せれるか、俺は知らねーけど…なんか、こう…手放したくなくなる」





！！？！？はっ、？

何か泣きそうな顔で腕掴まれたんだけど、え、待って、お？
分からんっ切実に誰かこの状況説明プリーズ！


影山の言いたい事はサッパリだし、何でそんな悲しそうな顔してんのかもサッパリだし、影山君は情緒不安定なのかな？！




影「……分かんねーなら別にいいけどよ…居なくなんなよ」

貴「えっ…」

影「オラ行くぞ」




居なくなんなよ…って…



貴「コッチの台詞だっての」

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