この無慈悲な世界に能力で希望を【リレー小説/派生作品】 (ページ34)

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手を出すな。【叶胡天秋/天秋】ページ34

「良いから言うこと聞けよ」

そんな声と共に、少しの血の匂いがした。

いくつかの男の気配と、帝華の気配。

へぇ、良い度胸してますね。

帝華(大切な妹)を殴るなんて。

「女を殴るなんて、死んだ方が世の中の為じゃない?」

そう言い放ち、ふわりと足を振り上げた。

二･三度足に衝撃があって、帝華以外の気配が薄まる。

気、失ったか。

「少々言葉が乱れてしまいましたね。

しかし女性に暴力を振るうなど、男としてあるまじき事。

逝去された方がこの世界に貢献出来ると思いますよ。

…聞こえていないでしょうが。」

わたしはふわりと微笑んで、踵を返した。

意識が残っていた男が何やら喚いていたが、よく聞こえない。

そんなに恥をさらしたいのか。

そんなに矜持を傷付けたいか。

「…敗けを認めず食い下がるなど、見苦しいこと極まりなし。

そんなに死'にたいのであれば、ここで殺'してあげましょうか？」

誰かが言った。

白は何よりも、穢れやすいのだと。

それでも良い。

わたしは大切なものを守るためなら、自分の事など厭わない。

久びさに帝華が“カッコいい”と言う目でわたしを見た様な気がする。

いっつも心配かけてばっかりだったからかな

シャッター音がした。

―――――――――――――――

学校に戻ってみれば、女子が何やら騒いでる。

すまーとふぉん…と言うものを囲んで。

ガラッと扉を開ければ、闇さんが駆け寄ってきた。

「天秋、今、すごい事に、なってる…。」

「え…？」

「地元の、チャラ男、殴ったって、話題。

コイツら、有名な、ヤンキー集団。

その中に、カレシいた、女の子が、騒いでる。」

どうやら、写真が拡散されたらしい。

また面倒な事に…。

闇さんにお礼を伝え、自分の席につこうとすると、座るべきところに椅子がなくて、そのまま転けてしまった。

「痛っ…」

クスクスと笑い声がする。

最悪な一日だ。