長船派の悪戯っ子は愛されている。 (ページ2)

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エイプリルフールページ2

現在午前4:30

前田「平野、分かってますね？」

平野「はい。現世では今日はえいぷりるふーる、という日だからA様に嘘をついても叱られません…仕返しをする絶好の機会です。」

いつもは見せないような黒い笑みを浮かべて平野藤四郎と前田藤四郎は頷きあった。

いつもAには鶴丸以上に悪戯されたり驚かされたりしている。

勿論、決して嫌ではなく、構ってもらえて嬉しいのだが、やられっぱなしはちょっと歯痒い。

主が言うには今日はエイプリルフールといって嘘をついてもいい日らしいのでAに日頃の仕返しをするというわけだ。

仕返しは二人で話し合った結果、本体を隠すということ。

今日は休みで出陣がない日だし、あまり害はない。

まずは本体を手に入れるところからだ。流石にこんなに朝早くには起きていないだろう。

Aの部屋の前に立ち、前田が平野の方を向くと平野は前田に向かってコクリと頷いた。

大きく息を吸い込んでAの部屋の障子を気づかれないようにススッ…と開ける。

案の定、頭から布団をかぶって寝ていた。本体はAから少し離れたところに置いてあった。

自分達の本体に比べれば重いので二人で持つ。

また慎重に障子を閉め、Aの部屋から離れた。

少し明るんできた空の光にキラリと鞘が光った。思わずうっとりと見惚れてしまいそうな美しさだ。

前田「…すごく綺麗な刀ですね。」

平野「Aさんの本体ですから。」

あらかじめ相談しておいた主の部屋につくと(主も共犯者)寝ている主の横を起こさないように通って

左から3番目、右から4番目、上から5番目、下から5番目の箪笥の中に本体を丁寧に置いた。

前田「あそこでしたら絶対にばれません。」

平野「ですね！」

驚くAを見るためにもう一度Aの部屋に戻ろうとしたが、

不意に誰かに呼び止められた。

A「あれ？平野君に前田君。こんなに朝早くにどうしたの？」

ギギギッと音がなるくらいに後ろを振り向くと…。

見慣れた長船派であることが一瞬でわかるような軍服、いつもよりより一層笑顔を浮かべている整った顔。

前田「…ッ！？A様…！」