【鬼滅の刃】原作を壊せ、助けるために。《参》

＊ ページ20

ー炭治郎sideー


ﾄﾞｶﾞｯ

ｽﾞｻﾞｻﾞ…

『いっ…！！？…ぐ、』

「炭治郎さん！！全然駄目！！！人形が持ってるのが素振り棒じゃなかったら速攻死んでますよ！！しっかりして、始めて五日！四ノ宮さんが居なくなってから三日、なんも進歩できてませんよ！米粒一粒くらいです！！ほらほら、明日からは刀持たせますからね！！！」

『い、や…これ…素振り、じゃ』

口に出そうとしても声が出ない、素振り棒ですらこれなのに刀なんて夢のまた夢な気がしてくる。素振り棒でも死ぬよこれ…死ぬる。


「今日もご飯抜きですよ！」

『あぁぁあぁあ…！！』

三日間はこの調子、Aさんと居た時は何かが掴めた気がしたのに、今じゃそれがなんなのかすらわからなくなってしまった。
そして小鉄くんの言う通りにも動けないからご飯も水も抜き、流石に死んでしまう。せめて水をと言っても駄目だと一蹴りされる。

『はぁ、…はぁ……っ…』

水すらも飲めない、それは本当に過酷なものだった。途中雨が降ってくれたおかげで生き延びることが出来たがあれがなかったらどうなっていたか分からないくらいだ。
絶水、絶食、絶睡の健康三大要素を尽く無視したこの修行の中で俺は何度も不思議な所に行った。

そこは大きな橋がかかっているかわ、橋を登って向こう岸に行こうとしたが空腹と目眩のせいでよろけ、毎回川に落ちてしまう。
冷たい水に浸かり変な気分だった、そして目の前に光っている石があり、それを掴もうとして必死に手を伸ばした。
掴んだ石からは、水なのに、水の中なのに匂いがした。


『(……！……なんだこれ！隙の糸とはまた違う…何の匂いだ…！！？)』


左側頭部
首
右腕
左脇腹
右腿
右肩

様々な匂いがした。

『(……来るっ！！！)』

下へと体を滑り込ませ、人形の足へと攻撃を入れる。身体が変な感じだった、まるで流れるようにそこに行かないと負けると思えた。

ﾊﾞｶﾞｯｯ

『やっ！！！』

ｺﾞｽｯ

『っ＿＿＿＿！！』

思わず動いていた為受け身が取れず、顎から地面に落ちてしまった。ズキズキと痛む顎と体の節々に苦笑いが零れる。


「一撃入りましたね炭治郎さん！！ショボすぎて人形ビクともしてないですけど！！ご飯を上げましょう！！！」

『おにぎりと梅干し！！お茶は…高級玉露で！！！』

目の前のおにぎりを掴み口に放り込む。じわりと口に広がる塩の甘みとしょっぱさに口元が綻ぶ、お茶を飲み、息をつく。
七日ぶりの食事は身体にしみた。
美味しい。

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