花嫁修業50日目 ページ13
・
『ん………』
重い瞼を開ける、目の前に居たのは天月、俺が目を開けたことに気がついたのか横目で俺を見る。
「ぁ、おはようございます…三日ぶりですね」
『みっ…か…?』
「はい、三日ぶり…ですよ」
『……おも』
「ま、40度の熱ありゃ辛いでしょ…ほら、こんなに弱い」
『っ……そんな…珍し』
天月の言ったことに驚いて起きようとしたら身体が死ぬほどだるかった。肩を軽く押されただけで布団の中へと戻ってしまうほど俺は弱くなっていた。
「もう…ご飯食わないで精力と栄養渡してたら、そりゃあガス欠にもなるし、妖力も弱まって熱出るよ」
『……ごめん、』
「前のまふくん見てるみたいだよ…。…もうあんな無理しないで、頼むから…そらるさんだけが、まふくん達を…助けれるんだ」
『…。』
「いや…ごめん、だからやっててくれたんだよね……ごめんね、俺が来なかったから、そらるさんに全部任せて、…みんなは…来てたの?」
『皆は見に来てくれてるよ、その時はちゃんと食べてるって言っといた…。……皆に嘘ついた』
「…心配させたくないなら、ちゃんと…頼ってね」
『…。』
「約束して、また熱出されたらたまんないよ」
『…うん。約束するよ…じゃあ、早速我儘いいかな』
「ん、いいよ?」
その時、ぐぅ…とお腹の音が鳴る。勿論、言うまででもなく俺の腹の音だった。少しだけ顔が赤くなる感覚に襲われた俺は天月の視線から目を逸らす。
「ふふっ…ご飯食べる?」
『…うん、宜しく』
「はーい」
返事した天月の声は別に怒っていなかった。瞼が重くなった俺は再び眠りについた。早く治さなきゃいけない、妖力が回復するために…。まふとAを助ける為にも
「…おやすみなさい、起きたら、元気になる魔法かけときますね」
『…な、に…それ』
そう言った天月の声はまるで子供に笑いかけるような優しい声色だった。
_____
再び目が覚める、先程と違うのは天月が俺の手を握ったまま眠っていた。
俺は妙に暖かい手に視線を移し固まる、ある事に気がついた俺は急いで天月の手を剥がした。
優しく剥がしたつもりが強かったのかもしれない、天月の瞼がゆっくりと上がる。
「んぅ……しょらるさん…?」
『…何やって、天月が倒れるよ』
「…んー」
ゆっくりと伸びをした天月は眠そうな目で俺を見つめたあと、自身の手を見た。納得したように口を開く。
「…戻りました?」
そう言った天月のまふのような微笑みを俺は黙って見つめていた。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年5月19日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あや - 始めまして!この小説すごい好きです! まふまふさん推しなので得に! 受験お疲れ様です 更新頑張ってください! (2020年4月3日 0時) (レス) id: a7aad2115f (このIDを非表示/違反報告)
胡桃きら - 推しを愛で隊(夜桜)さん» お返事ありがとうございます。受験だったのですね、お疲れ様です!そしてほんとにすみません、、何回も読み返していてこれまで占ツクで読んだの中でトップ3の中に入るぐらいだいすきな作品です!これからも応援しています、作者様のペースで更新頑張られてください。 (2020年3月29日 21時) (レス) id: 5346f0bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - 胡桃きらさん» 初めまして、そんな有難い言葉を頂いて本当に嬉しい限りです…!!受験も終わりましたので、更新を少しずつ再開しようと思っています。我儘なんかじゃありません!!わざわざコメントして頂けるなんて驚きましたが…w更新は再開します。絶対なのでご安心して下さい!! (2020年3月7日 14時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - あいろさん» あ、ありがとうございます!!! (2020年3月7日 13時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜桜 | 作成日時:2019年4月9日 0時