第95話 影 ページ9
｢あーーー………疲れた………｣
あの後、国王やその側近達と挨拶を交わして少しだけ話をした後もう今日は遅いからと宿へ案内された。
その宿はいかにも高級そうな宿で着くや否や宿の女将さんやオーナーと思われる人達が出てきてご機嫌をとるかのような大層な出迎えをされた。
それを受け入れつつ案内された部屋は豪華な和室で和風のベッドやベランダに設置された個室の露天風呂などがあった。
めっさ豪華やな〜なんて他人事のように考えながら女将さんが持ってくれていた荷物を受け取って部屋に上がった。
｢お食事は午後7時からのご案内となりますので、それまでごゆっくりどうぞ｣
女将さんはそう言うと｢失礼します｣と言って部屋を出ていった、それを見送ると早速居間へ入り荷物を置いた。
｢はぁ………七時までまだ時間あるしどうしようかな…｣
そうボソリと呟いてゴロン、と畳の上に寝転ぶとトントンと部屋のドアがノックされその後ろから｢入ってもいい？｣とひとらんさんの声が聞こえた。
一応他国なのでその声が本当にひとらんさんのものか慎重に声のトーンや声の癖などを合わせて本物か聞き分けてから部屋のドアを開けた。
｢どーぞー｣
一応確認をしてから開けたつもりだけど俺がすらっとドアを開けた事に対して二人は｢何で警戒もせずに開けるの！？｣とか｢ここは敵国やぞ！襲われたらどうするん！｣と怒ってきた。
俺は一応確認して開けたよ、と言うが二人はハモって｢お前のそれは信用ならん！｣と言われた、ショック。
｢分かりました、次からはちゃんと警戒しますから…で、何の用ですか？｣
二人が部屋に入ったのを確認してからドアを後ろ手で閉めて鍵をかける、そして自分も部屋の中へはいると二人は用意されていた座椅子へと座っていた。
俺も座椅子に座って二人を見ると二人は新鮮な顔をして、一枚の紙を俺に渡してきた。
なんだこれは、とその紙を見るとそこには｢我々国戦力調書｣と書かれていた、そしてその後には俺たちのプロフィールと戦力のグラフが書いてあった。
一応盗聴されてる危険性もあるので筆談で話す事にした、1枚無地の紙を取り出してそこに｢これは？｣と書く。
ht『先程ロボロから送られてきた、恐らく俺達の戦力を調べて対策をとるつもりだろう』
zm『面倒な事になったわ、こっちは敵国だし下手な事は出来へん』
ht『それともう一つ気になったのは、城にいた王の護衛の一人がここに来て俺達の様子を聞いて帰っていったらしい』
『……不自然ですね』
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作者名：琴宮 いろは | 作成日時：2020年6月17日 0時
