第92話 青鬼城 ページ6
｢はぁ……行きたくない……｣
あの後、何とか荷造りを終わらせて訓練をして武道会に備えて準備をして約1ヶ月後。
武道会開催まで一週間前となり、国を出発する日がとうとう来てしまいました。
あれから溜息が止まらない、本当に行きたくないと服を詰めたトランクを持ちながら迎えの車を城の門の前で待っていると同じように出発するゾムさんが隣に立った。
zm｢あんま気に病まない方がええで？この武道会に行けって言ったのも、お前の力量を認めての事やん？｣
ht｢うん、ノエルの力なら大丈夫だよ、きっと勝てる｣
｢ひとらんさん、ゾムさん……｣
そう言って俺を励ます言葉を言ってくれた二人が眩しく見えて、｢そうだこの二人がこう言ってるんだ、ちゃんと勝たなきゃ｣、とやっと心に決心がつき、さっきまでの気持ちを捨てて前を向いた。
｢そうですね！皆さん俺に期待してくれてるんですよね！だったらちゃんと勝たなきゃですね！｣
俺、頑張ります！と気合を入れるとゾムさんが｢その調子や！｣と頭をポンポンとしてくれてひとらんさんが｢糖分補給、する？｣と飴をくれた。
ひとらんさんがくれた飴をお礼を言って受け取って口に入れるとサイダー味の甘さがじんわりと体にしみて、更に気持ちが楽になった。
頑張ろう、俺！！
数分後迎えに来た車に乗り込んで、ラ・エイ国に着くまで三人でぐっすり睡眠をとった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
｢あ"ーーーっ、着いたーー………｣
着いた場所はラ・エイ国の中心街、
この街は俺達の国の町とは違って東洋の国の街のようでなんだか落ち着かない街だ。
そして、人々が顔に薄い布をかけて顔が見えないようになってる。
なんだか怪しい雰囲気の街だな、と思いながら車のドアを開けた。
車から降りて地に足をつけてから伸びをしてそういうと強ばった体から余計な力が抜けてリラックス出来た。
やっぱり車での長時間移動はきついな、と軽いストレッチをしながら外の空気を吸っていると車の運転手さんが｢荷物は後で宿に届けますので、先に国王の元へ｣と言ってきた。
そっか、俺達客だから先に挨拶しなきゃダメなのか。
面倒くさ、と思いつつ目の前に大きく立ちはだかる城へと向かった。
城の元へつくとそこには着物、という東洋の服を着た人達が沢山待っていて、着いた俺たちを睨むように見てから城の門を開けた。
開いた門の先には華奢な男の人が立っていて、俺たちに向かってお辞儀をしてから近付いてきた。
｢お初にお目にかかります、本日青鬼城の案内人を務めます、ヨルナと申します｣
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作者名：琴宮 いろは | 作成日時：2020年6月17日 0時
