第89話 参謀様と書庫 ページ3
｢あ"だっ！……たー…すみません…前見てなくて…ってエーミール様！｣
em｢こちらこそ…ってノエルさん…｣
曲がり角でぶつかってしまった相手は何とこの国の参謀のエーミール様だった。
この人はいつも書庫に籠って出てこないらしくて、会えるとしたら幹部会議か月一である幹部と一般兵士の交流会だけ。
俺も幹部会議とか作戦会議とかでしか会った事ないし話したこともない、顔もあんましじっくり見た事ないからなんか新鮮かも。
なんて思いながらエーミール様の顔をじっとみているとエーミール様は持っていた本で顔を隠した。
｢……あっ！ごめんなさい、失礼を…｣
エーミール様の様子に気づいた俺はさっ、と顔を逸らして謝るとエーミール様は｢いえ…｣と言って俺から距離を取った。
俺はなんて不敬を…やらかした…と反省していると距離をとっていたエーミール様がいきなり｢あの｣と話しかけてきた。
｢あ、はい、なんでしょう｣
em｢あの、ノエルさんが入ってから私あまり話した事ありませんよね…？｣
恐る恐ると言うように話しかけてくるエーミール様の様子に警戒されてる…と若干ショックを受けつつも｢そうですね…｣と答えるとエーミール様は顔を隠していた本を下ろして俺を見た。
em｢よ、宜しければ書庫でお話しませんか…？今後の為にもあなたの事、知っておきたいんです｣
そう真っ直ぐな目で言うエーミール様に驚きつつも、エーミール様のその言葉が嬉しくてさっきまでの気持ちが消えて嬉しい気持ちで心がいっぱいになった。
そうなれば返事は一つだけ。
｢はい！俺も、エーミール様の事知りたいです！｣
そう答えるとエーミール様は嬉しそうに笑って｢では、行きましょうか｣と書庫へ案内してくれた。
実はこの国の書庫は国が運営する図書館の何倍もの本があり、古代書や歴史書、魔法書や錬金術が載った本などが保管されているらしい。
他には個人の情報が載った本や国の詳細が載った本なども保管されているらしい。
歴史書や文化の本などは一般の人が見れるけど、古代書や機密書は幹部クラスの地位を持った人や幹部に許可を貰った人しか閲覧できないらしい。
そして、書庫の警備は厳重でカード認証、指紋認証、虹彩認証、暗証番号など複数のセキュリティを突破した上で入れるらしい。
総統室、ロボロ様のラボに次いで警備が厳重らしい。
まぁエーミール様はそこの常連なのでスイスイ解除して、楽々書庫入場だけどね。
俺もエーミール様の後ろについて行って書庫へ入るとそこにはどこまでも続く本棚に沢山の本が並び、地球や恐竜の模型が宙を浮いていた。
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作者名：琴宮 いろは | 作成日時：2020年6月17日 0時
