第100話 やらかした ページ14
女の子だし、手荒な真似はと財布を取ろうとしていた手で女の子の腕を握って思いっきり振る。
驚いて思わずナイフを離した女の子は思わず声をあげようとするがそれを防ぐようにハンカチで口を塞ぐと手刀で項を打って気絶させる。
がくりと力が抜けて地面へ倒れる体を受け止めてそっと優しく地面へ寝かすと地面に座り込んでいる女の子へと歩み寄る。
｢く、来んなよ…！声上げてもいいんだぞ…！｣
｢別にいいよ、その前にお前を気絶させて逃げるからね｣
そうあっけらかんとして言うと女の子は顔を青くさせて目に涙を浮かべ、震えながら首を横に振り続けた。
じりじりと迫る俺から逃げようと必死に後ずさるけど恐怖によって支配された身体は思うように動かないらしく、少しずつしか下がっていない。
｢狙った相手が悪かったね｣
そう言って足元で震える女の子に笑顔で言うとその子は｢ごめんなさい…もうしないからァ…！｣と言って許しを乞うてきた。
だけど残念、俺そんなに優しい人じゃないから。
｢ちゃあんと罪は償おうね？｣
そう笑って言うと女の子は恐怖がキャパオーバーしたのか気絶してそのまま後ろに倒れた、まぁ気絶させる手間が省けたからいいかとその女の子の手を掴んで起き上がらせてから手をその辺にあった縄で縛った。
なんで縄があったかは知らんがまぁ有効活用されるならこいつも本望だろうと思いながら手刀で気絶させた女の子の手も縄で縛った。
｢さてと、このままにさせるのはあれなので…とりあえず警察かな｣
その子達のポケットから財布をとって身分証明書を見る、ふむふむなるほど…と見てから一応写メをとって実は撮っていた録音を自分に不利な部分だけ切りとって保存した。
近くに交番ないかな、とスマホで検索していると路地裏の出入口からチリンチリン、と自転車のベルが聞こえた。
何だ、と振り返ればそこに警察官が立っていて警戒したような顔をしながら近寄ってきた。
うーーーーーん、タイムリー。
｢そこで何してるんですか？｣
｢あ、良かった、あのこいつらカツアゲです｣
｢は？……分かりました、一応お話聞く為に署まで来て頂いても宜しいですか？｣
…これ完全に俺の事疑ってるよね？そんな目してるよ、違うんだって俺じゃないから！！！
そう抗議したいけどそれをして公務執行妨害とかになって現行犯逮捕とかになりたくないから心の中に閉まっておいた。
警察官の指示に従い、拘束した子達と一緒に署までついて行くことになった。
はぁ…これ絶対一日潰れたよ、なんて心の中で思いながら深い溜息をついた。
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作者名：琴宮 いろは | 作成日時：2020年6月17日 0時
