第99話 染まる ページ13
あれもこれも、と自分が満足するまでお皿に乗せてから空いてる席へと座って食事を始めた。
ビュッフェが開かれてる場所はいつもはレストランの所らしく内装はオシャレで窓が大きく景色が良く見えた。
その景色を眺めながら食事を済ませて、食後のコーヒーを飲んでいるとふと街を探索してみたいという気持ちが出てきた。
でも何も言わずに行くのもなぁ、と思ったのでコーヒーを飲み終わってからレストランを出て部屋へ戻る。
まだ寝てるかもしれないので静かにドアを開けて部屋に入る、二人は案の定まだ寝ていて起こす訳にも行かないので置き手紙を書いて置いておいた。
何かあると行けないので身分証明書と軽めの武装をしてから部屋を出た。
宿を出て暫く歩くとこの国に来た時に来た城下町に出てそこは人で賑わっていた、その人達の頭にはやっぱり角が付いていて夢じゃなかったんだと思った。
取り敢えず歩いてみよう、と街の様子を見ながら歩いていると女の子達がこっちを見てきゃっきゃっと騒いでいる。
気になるけど、あまり見たら失礼かもと思い気にしないように通り過ぎようとするとその女の子達が近寄ってきて俺の手を握った。
｢あの、お兄さん！良ければうちのお茶屋寄ってってよ！｣
｢嫌！私の方のお菓子屋寄ってって！｣
その子達は猫かぶった様に笑って俺にそういう、客取りの子達だったか、とその子達を見て微笑む。
取り敢えず断るか、と俺の手を握る手を優しく解くと｢ごめんね、これから用事があるから｣とやんわり断る。
すると女の子達は｢えー？良いじゃない！こっちよ！｣と俺の手を再度掴んでお店とは逆の裏路地の方へと俺を引き摺っていく。
しまった、と思った時には時すでに遅し、俺の手を離したと思ったら一人の女の子が地面に倒れ、一人の女の子が俺の脇腹にナイフを押し当ててきた。
｢声出されたくなかったら金出しな、今ここで私が悲鳴あげたら犯罪者になるのはあんただよ｣
｢そうよ、そうなりたくなかったらさっさと出しな｣
成程、他国者を狙ったカツアゲの連中だったか。
はぁ、とため息をついてこれからどうしようかなと空虚を見つめると女の子達は痺れを切らしたのか｢早く出せよ！！｣とナイフを更に強く押し当ててきた。
｢はいはい、そんなに慌てないの！｣
そう言って財布をとる仕草をする、女の子達は警戒しているのか俺を睨んでナイフを押し当てる。
ここでお金出して穏便に終わらすのもいいけどそれじゃつまんないよなぁ、なんて思った後でふと気づく。
こりゃ俺も我々軍に染まってきたなぁ、そう気付いて自然と口角が上がった。
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作者名：琴宮 いろは | 作成日時：2020年6月17日 0時
