些細な反抗だったのに【藤田颯真】 ページ7
「はあ…そんなこともできないの、がっかりだわ」
はじめはちょっとした、母の小さな愚痴のようなものだった。
父が酒を飲んで、きっと八つ当たりか何かの時に頬を一発叩かれただけだったのに。
「なんでっ…!あんたなんかっ、生まれなければ良かったのにっ!」
次第にヒステリックになっていく母に比例するかのように、父からの暴力もだんだんひどくなっていく。
ついには母まで暴力をふるいだし、俺はただ一人でストレスを抱え込んでいた。
だからワルだと噂の先輩に誘われてピアスも開けたし、煙草も吸った。どちらも両親や学校に対しての当て付けのつもりで、少し興味を持ったから、という軽い気持ちだった。
それでも心のどす黒い塊は消えることはなくて、ピアスも煙草もやめなかった…いや、やめられなかった。
厄介事に巻き込まれたくない、学校から親に連絡されれば今度こそ俺は殺'される。
そう思って必死に隠していたつもりだったが、ある日先生に呼び出しを受けた。
「藤田…お前、ピアスあけてるだろ。煙草吸ってるって通報も入ってるが、どちらも校則違反だ…どういうことなんだ、本当なのか」
「…してません。俺はなんもしてないんで」
まだ何か言いたげな先生を無視して来た道を戻る。
学校では我慢する…なんて考え、とっくに頭の中から消えていて。
ただ欲望のままに、カッターで手首に赤い花を散らした。
痛い、とかそんなこと全然感じなくて、ただ無心のまま頭に思い浮かぶのは両親の姿だった。
やっと解放される?あいつらは後悔するのか。それとも俺がいなくなって清々するだろうか。
ぼーっと鮮血を眺めていれば近くから悲鳴が聞こえ、そちらを見ると数人の女子生徒がこちらを指差して叫んでいた。
うるせぇな、なんでいちいち騒ぎ立てんだよ。これだから女は嫌いだ。
すぐに慌ただしい足音が聞こえだし先生が駆けつけ、野次馬が廊下を埋め尽くす。
「なにしてんだ藤田っ…!」
だが俺が一番驚いたのは、先生が応急セットから包帯を取り出しながら呟いた一言だった。
「…V組、いれるか」
名前だけは聞いたことのあるその言葉。
ああ、確か俺に煙草を渡してきた先輩が言っていた気がする。
「あんま派手にやり過ぎるとV組に入れられるから気を付けろよ」と。
あのときは適当に聞き流していたけれど、今となってそれを後悔した。
…V組ってなんなんだよ、めんどくせぇ。
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ラス(プロフ) - あの…これ、誰も更新しないんですかね…?連載開始からだいぶ経っているのにほとんどの人が書いてません…。企画主さんからも、未執筆の方にお声掛けていただくとか出来ないのでしょうか。 (2020年4月29日 1時) (レス) id: 87616b7781 (このIDを非表示/違反報告)
riiu(プロフ) - 更新しました。 (2019年11月15日 17時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
riiu(プロフ) - 更新します。 (2019年11月15日 16時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 【藤田颯真】更新しました。けっこう暗い感じになってしまいましたが…。 (2019年10月23日 23時) (レス) id: aa231f5233 (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 更新します。 (2019年10月23日 23時) (レス) id: aa231f5233 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鮮やかに咲け!参加者一同 x他3人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2019年10月6日 0時