第3章 - 14話 ページ46
立ち上がる。
男は私を見てナイフを構えた。
横から聞こえる制止の声。
構わず進み、蹴りを入れる。脚に熱。赤。
男が倒れた。顎を押さえ転げ回る。
女の人を引っ張り、起き上がらせ
「行って。」
と言う。それと同時にナイフを後方に滑らせ、遠ざける。
女の人が後ずさりをして、後方車両へ駆け出す音がする。
私は男をうつ伏せにして上から乗り、首を押さえた。
「なん、な何かうぅ、ううぃはな、んな、おまおえ、お女、あはは離、じゃなし！！」
男は両手両脚を動かして抵抗する。
できる訳がないのに首を動かそうとして、頭をただただ何度も打ち付けている。唾液があちこちに散る。
その間に片手で制服のネクタイを解き、男の手首を拘束する。解けぬように、固く、固く。
切られた男の人の苦しそうな声が聞こえた。
私は顔を上げる。
「だれか、そこの男の人を介抱してあげてください。」
その声に何人かが動き出す。
「▫▫▫▫が▫▫▫、い、！！」
「黙って。」
卑俗な喚きに苛立ち、頭を殴ると男は静かになった。
その後のことは、よく覚えていない。
ただ、長い事情聴取と、カメラとマイクの群衆、その日の受験に間に合わなかったために別日の個別試験を受けたことは覚えている。
試験は簡単に思えた。
そして今日、合格発表。
時計を見、10:00になった瞬間にネット合否照合ページを開く。まだ、更新が来ていない。
もう一度読み込むと更新されていた。
震える指で受験番号を入力する。
合格の二文字。
「やっ、た…！」
こちらの世界でも、私の努力は実を結んだのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零落*・reira(プロフ) - カルタさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても励みになります…！ (2020年2月16日 15時) (
レス) id: 5e63a1d1e7 (このIDを非表示/違反報告)
カルタ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！合格おめでとうございます！更新楽しみにしています！ (2020年2月16日 14時) (レス) id: 132cc7b19e (このIDを非表示/違反報告)
白餡(プロフ) - パパっと読んでみましたが、描写も結構きっちりとしていて面白かったです。更新頑張ってください (2019年2月16日 23時) (レス) id: 81568ffd32 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：零落 | 作成日時：2019年2月14日 23時
