第2章 - 19話 ページ32
「クラピカ、実は私ハンター試験を受けに行こうと思っているんだ。」
「えっ。」
クラピカにイヤリングを渡してからおよそ1ヶ月が経った日の夜、私は彼にそう告げた。
念をだいぶ使いこなせるようになった私は、自分の力を試したくてウズウズしていたのだ。
あちらの世界での念のキャパシティと、こちらの世界とでは雲泥の差がある。あちらでは円だけでキャパオーバーしたが、こちらではいくら念を使おうがキャパオーバーになった事がない。つまりこちらでは限界が未だに未知数なのである。
今なら好敵手を求めるヒソカの気持ちが理解できる。
自分を試したいのだ。
ぽかん、と口を開ける彼を前にして話を続ける。
「申し込みはもう済んである。会場はカキン帝国のシュテファン。試験は2ヶ月後だけど、出発は1週間後にするつもりなんだ。」
「そっか…。」
しゅんとする少年。
私は手を伸ばし、彼の頭を撫でる。
「一生の別れじゃないし、またすぐ会えるよ。」
「うん…。でも、やっぱり寂しいんだ。」
俯いたままの少年は小さく呟く。
私も寂しい。なんせ今までクラピカとずっと一緒にいたのだ。
彼と会えなくなるのは寂しい、けれど、私のためにも、彼のためにもここでそれぞれの冒険を始めるべきだと思う。ここで止まったままではこれ以上の成長は望めない。
「クラピカ。」
前に座った彼が顔をあげる。
潤んだ瞳、哀しげな表情。
何と言葉をかけて良いかわからなかった私は、立ち上がって彼の隣に座り、優しく抱きしめた。
「急にこんなこと言ってごめん。でも、決めたことだから。」
「…わかった。なあ、A。試験が終わったら会いに来てよ。俺はここで待ってるから。」
「うん、勿論だ。約束しよう。」
私は微笑んで、また彼を撫でた。
もう彼は泣いていない。笑って、
「頑張れよ！」
明るい声で励ましてくれた。
試験は2ヶ月後。時間はない。できる限りのことを全うして、彼に誇れる結果を残そう。
Aは、心の中で合格を固く誓った。
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零落*・reira(プロフ) - カルタさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても励みになります…！ (2020年2月16日 15時) (
レス) id: 5e63a1d1e7 (このIDを非表示/違反報告)
カルタ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！合格おめでとうございます！更新楽しみにしています！ (2020年2月16日 14時) (レス) id: 132cc7b19e (このIDを非表示/違反報告)
白餡(プロフ) - パパっと読んでみましたが、描写も結構きっちりとしていて面白かったです。更新頑張ってください (2019年2月16日 23時) (レス) id: 81568ffd32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零落 | 作成日時：2019年2月14日 23時
