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第2章 - 11話 ページ22

私は、見出した法則をノートに書き出した。
深緑色の皮表紙を閉じ、立ち上がる。

ホテルをチェックアウトした後に借りたこの部屋は、ホテルの部屋より少し狭い。
とはいえ宿泊費が安い長期滞在型の宿屋であるから、妥当である。

クラピカはこの部屋にいない。
彼は最近、王立図書館に入り浸っているのだ。
その図書館は一階から三階までの四方全てが本で埋め尽くされており、読みきるのにいったい何年、いや何十年かかるのかわからないくらいの数だ。
知識欲が人の何倍も強い彼は、開館してから閉館するまでずっと図書館にいる。
私も最初の頃こそ彼の身を案じていたが、彼は将来ハンター試験に合格するような子だ。並みの大人は手出しできないくらいの強さは有していた。

そのため、今、私はひとりで念能力を手に入れようと試みているのだ、が。

…どうしたらいいのだろう

なんせ方法が分からなかった。
水見式を試そうと思ったが、練ができていないことには意味がないということを思い出した。

…なんだっけ、念を得るには…

…そうだ、精孔を開くんだったっけ

私の6年近く生活している寮には漫画を持ち込んではいけないという規則があり、最後に原作を読んだのは小学生の時だった。
そのため、この世界の知識は曖昧で、心許ない。


取り敢えず精孔を開く、という目標を手に入れた私は再び椅子に座って目を瞑った。
精孔は無理矢理開けるか、瞑想のように心を鎮めてオーラの感覚を掴んみ、ゆっくり開けるかのどちらかだったはず。
そう簡単に念能力者に出会えるとも、開けてもらえるとも思えなかった私は後者を選んだのだ。


体の感覚に集中する。

手先、足先から何かに覆われている感覚を探す。
呼吸に集中する。
末端、体の芯からねっとりと生暖かい、液体のようなものが滲み出ている感覚が、する気がする。
気のせいかもしれない。だが今はその感覚に縋ってみる。
まるで羊水の中に漂っているようだ。
ほわほわと優しい膜が身体の表面で循環している。脈打っている。
…ような気がする。自信がないのだ。


…わからない、これでいいのか?


瞼をゆっくりと開ける。
視界に変わりはない。
両手を見る。

ぼんやりとした薄い膜が体を覆っているのが見える。


…まさか

「…成功?」

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零落*・reira(プロフ) - カルタさん» ありがとうございます!そう言っていただけるととても励みになります…! (2020年2月16日 15時) (レス) id: 5e63a1d1e7 (このIDを非表示/違反報告)
カルタ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです!合格おめでとうございます!更新楽しみにしています! (2020年2月16日 14時) (レス) id: 132cc7b19e (このIDを非表示/違反報告)
白餡(プロフ) - パパっと読んでみましたが、描写も結構きっちりとしていて面白かったです。更新頑張ってください (2019年2月16日 23時) (レス) id: 81568ffd32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:零落 | 作成日時:2019年2月14日 23時

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