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川上side
河村さんが明らかに仕事を忘れてたらしい。
伊沢さんから連絡が来るまでほんとに忘れてたみたいで、
今荷物をまとめ始めてる。
櫻田「あの」
川上「ん？どしたん？」
櫻田「俺の携帯が、机の上でなってます」
川上「ほんま？」
机の上の2人の携帯を見ると、青い方に通知がきている。
"零"って人から来てるけど…。
川上「…もしかして、今日仕事だったりする？」
櫻田「…」
黙った。何か隠したいのか？
ふと思ったけど、零って本名に少なくないか？
だとしたら偽名？
悩んでいるうちに、今度はLINEがきた。
"さくらくん、今忙しいかな？"
さくら？あー、こっちも偽名か。
偽名同士での関係ってやばくないか？
あ、何かの取引とか？いや何の？
まさかだけどさ…
川上「まだ、あの仕事続けてる？」
ギクッと伊吹くんの肩が揺れた。
へぇ、まだ続けてるんだ。
川上「河村さん」
河村「ん〜？」
川上「伊吹くん仕事あるみたいですよ」
河村「えぇっ…まぁ俺も仕事行くし…」
川上「Aくんいるんで、大丈夫だと思いますけど」
河村「帰ってこなかったらAくんをってことね」
川上「どうします？」
河村「いいんじゃない？」
櫻田「…本当ですか」
河村「うん、仕事先とか外部にこのこと言わなきゃね」
櫻田「絶対に帰ってくるので、俺がいない間にAには手出ししないでください」
川上「分かっとるよ」
そう言って伊吹くんの手枷を外した。
少し跡残ってるけど、これくらいなら大丈夫
かな。
河村「拓朗、Aくんのも取ってあげて」
川上「えっ大丈夫なんですか？」
河村「多分ね。起きたら机の上にある薬返してあげて」
川上「分かりました」
河村さんは机の上にある真紅の錠剤を指さして
拓朗は飲んじゃダメって言った。
いや、怖いからこんなもん飲まんけど。
伊吹くんは玄関にある荷物を確認し、
そそくさと家を出ていく準備をした。
河村「一緒に行こうか」
櫻田「監視…ですか」
河村「んーん、なんとなくだよ」
川上「行ってらっしゃいです」
河村「うん、行ってくる」
二人を玄関から見送り、Aくんの眠るリビングに着いた。
昨日のことを思い出すと、本当に外していいのか戸惑う。
でも、拓哉さんが言ったことだし、大丈夫。
Aくんの手枷を丁寧に外した。
昨晩暴れたせいか、手首が赤く擦れていた。
川上「…ごめんな、もう少しやから」
そう言って、俺はAの頭を撫でた。
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作者名：紅思匡 | 作成日時：2019年9月13日 18時
