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櫻田side
…とうとう言ってしまった。
幼い頃から男にしか興味がなかった俺は、
Aに助けられた。
それをいい事に今でも一緒にいる。
『愛してるよ』
本心は上手くは口から出ない。
『月が綺麗ですね』
なんて、洒落た遠回りの言葉になる。
でも、Aは理解力も知能もある。
一縷の望みを託し、俺は答えを待った。
少し待っても返事がなくて、
催促するように、言葉を付け足した。
実野辺「分からないわけないだろ」
ボソッと呟きながら
耳まで赤らめている、俺の大切な人。
本人は聞こえてないと思ってるだろうけど
聞いてしまった。聞き入ってしまった。
答えが…返事が欲しい。
強欲な自分に身を任せ、俺は言った。
櫻田「返事は？」
…強制感がだいぶする言い方になってしまった。
実野辺「…すき…だけど…」
照れている。耳まで赤くして照れている。
これがおそらく『可愛くて食べちゃいたい』
みたいなやつだろう。
今日は甘えさせて欲しいんだ。
そして、これからも…。
そんな思いを込めてAに
優しく抱きついた。
櫻田「俺は愛してるよ」
実野辺「俺…も」
そう言って俺の大きな肩Aの細く、
白い腕がかけられる。
全く重みがなくて、すごく心配になる。
でも、嬉しい。
櫻田「…付き合うってことでいいんだよね」
少しの間が出来る。
その間は俺の心配を煽る。
そうすると、少し下を向きながら
口が開くのが見えた。
実野辺「…いいの？」
彼の目には少しの恐怖があって、
俺のことを信じ切っていなかった。
櫻田「何があっても離さないから」
俺はお前を心配させないために
余裕の笑顔を見せるしか無かった。
こんなことしか出来ない俺を許して欲しい。
実野辺「…甘えさせてもらいます」
そう言いながら少し重くなるAのことを
支えて、今日はもう寝よっか、と呟き、
Aを抱き上げた。
実野辺「そんなに軽い？」
櫻田「軽い軽い♪」
実野辺「ルンルンだな」
櫻田「それくらい嬉しいんだよ」
実野辺「…照れ…るね」
ウトウトしている愛人をベットに連れていき、
今日は寝ることにした。
(真っ昼間だが、疲れたならそこは気にしない)
櫻田「明後日は楽しみだね」
実野辺「…こわい」
胸元を掴まれて、だいぶびびったが、
掴んだ手は震えていたから、
安心出来ていないのだろう。
櫻田「俺がいるから…大丈夫」
今度はベットに添い寝で抱きしめた。
実野辺「…ありがと」
そう言って、彼は意識を手放した。
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作者名：紅思匡 | 作成日時：2019年3月30日 8時
