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第321話 ページ21

5階に向かうケイジさんを見送る

エレベーターが上昇すると同時に、Qタロウさんの体が崩れ落ちる

「Qタロウさん?大丈夫?」

彼の腕を担いで背に触れるとじわりと湿った感触があった

触れている彼の腕はおおよそ人の体温から程遠い温度をしていた

慌てて彼の脈を測れば今にも止まってしまいそうなほどに弱っていた

ハンナキーに施術された箇所を確認する

気休めとばかりに巻かれた包帯は真っ赤に染まっていた

「嘘でしょ、ちょっと…。しっかりしてください!」

「思ったより傷が深かったみたいでよ…。カナト…ちょっと、肩を貸してくれ…」

Qタロウを支えながら墓地へ向かう

墓地に辿り着くと大きく左右にふらつきながらも彼はある場所に向かった

そこには蓋の開いたままのケイジが入っていた棺があった

彼はそこに寝転がると死人のように両手を胸の前で組んだ

「何してんの!?そこにいたら、焼け死ぬってわかってる!?」

「そうだよ…!Qタロウさん!サラちゃんたちに会うんでしょ!?」

「…すまねえ…。実は…手遅れみたいでよ…」

「嫌だよそんな…!私のせいで…!」

マイちゃんの瞳から大粒の涙が溢れる

Qタロウは緩慢な動作で腕をあげるとマイの涙を拭った

「時間がねえぜよ…、お前さんらには…やるべきことが…」

「待ってよ、こんな聞いてない!棺には人形を入れるんじゃないの!?なんでアンタがここで誰にも知られずに死ぬ必要があるんだよ!」

「クク…最高のカモフラージュに…なるぜよ…」

Qタロウは僕の腕を掴む

「カナト…、マイを…皆を頼む…お前さんにしか…頼めん…」

彼はなるべく明るくあろうと笑みを浮かべた

「…Qタロウさんの意思、受け取ったよ。命に変えても約束は果たすからね」


僕はマイを連れてAIコーリンの置かれた部屋に向かった

ハンナキーの姿はなかった

機械の側に近づくと山積みにされた段ボールの中を漁る

「え、ちょっと待って!ちゃんと説明してよ!」

「え?今マニュアル探してんの。分厚いファイル探すの手伝ってくれない?」

「そうじゃなくて!カナトくんって何者なの!?Qタロウさんの人形を作るって何!?」

見つけたファイルを抱えて戻ると困惑した様子のマイが立ち塞がった

「そのまんまの意味だって。Qタロウさんの身代わりを作って皆に会わせる」

彼女の傍を通ろうとすると、行手を阻むように動いた

前の質問にも答えろ、ということだろうか

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ハデス - ゆっくり更新してください。応援しています!男主の秘密...ドキドキして読んでいます! (9月21日 17時) (レス) @page23 id: 087d3e6d61 (このIDを非表示/違反報告)
蓮花(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。最終章が公開されましたらのんびり更新していきます (8月24日 7時) (レス) id: 6d93495a63 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - キミガシネにハマりこの物語にハマってしまいました、物語がほんとに作り込まれていて今では大好きな物語です、更新楽しみに待っています (8月20日 0時) (レス) @page23 id: 39f071eb34 (このIDを非表示/違反報告)
scythe - こんばんは、一気見しました。良い作品をありがとうございます。更新楽しみにしてます。陣くんが好きで三次創作を描いたのですが、どこかで蓮花さんに送ることなどはできますか? (8月3日 19時) (レス) id: b5b8c5d4bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青薔薇 | 作成日時:2023年5月28日 1時

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