え、心臓痛い。2 (ページ13)

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階段目黒side

「人が立てなくなってんだぞ！？手貸すくらいできんだろ！？！？！？」

何十人もいる生徒が、佐久間くんを直視できてない。

岩本くんに肩を借りて、立ち上がるけど、たっているだけで精一杯。

「佐久間くん、大丈夫、みんな急でびっくりしたんだって。」

振り返って、俺を見ると、すごく悲しい顔をして、

「…車椅子取ってくる。」

と走っていってしまった。

あの温厚で優しい佐久間くんが、怒ることにみんながびっくりしてる。

ここの生徒の間でもそのことが有名な話だということも空気でわかる。

人がパラパラと散っていき、俺らだけになる。

前を歩く深澤くん。その腕の中にいるAちゃん。
俺を支える岩本くん。誰よりも優しい佐久間くん。

Aちゃんを巡って、俺が仕掛けて、少し空気をピリつかせた。

そんな俺を殴りたい。

生徒会のこのメンバーに、そんな亀裂を入れていいやつなんか存在しないから。

保健室まで、無駄に遠いこの学校。地道に進んでると、前から車椅子を押した佐久間くんがきた。

「照ごめん、待たせた。」

「大丈夫。」

佐久間くんは、照くんにそういって、「俺、阿部ちゃん探してくる。」とまた走ってどこかにいってしまった。

俺に合わせて歩いていたから、車椅子になったおかげでさっきよりはスピードを上げて進めてる。

深澤くんの腕の中にいるAちゃんは、ぐったりしていて、人がいるときは、意識もはっきりしていたのに。

「気張ってたんだろ。気にすんな。」

俺の視線に気づいた深澤くんにそう返された。

保健室に着くと、先生はいなくて、佐久間くんが伝えてくれていたのだろう、俺らの担任が待っていた。

とりあえず寝かしてもらって、必要な書類を2人に書いてもらい、時間が過ぎるのを待った。

ガラガラガラガラっ！！！

「A！！」

今から移動しようとしたときに、用事が済んだであろう阿部くんが部屋に飛び込んできた。

『亮平…大丈夫、蓮くん守ってくれて、』

「怪我してるっ…」

Aちゃんの足にはあざがいくつかできてて、ふくらみを持ってた。

阿部くんは、Aちゃんの手をぎゅっと握って、存在を確認するように、ずっと頭を撫で続けてた。