え、心臓痛い。2 (ページ12)

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放課後

帰ろうと準備をしてると、前の席の亮平から、

「なんか、呼び出しされたから、昇降口で待ってて？」

と、ほぼ空に近い鞄を担いで、出て行ってしまった。

それと同時に蓮くんもきて、

「あれ？阿部くんは？」

『なんか呼び出されたんだって。』

「へぇ、待ち合わせは？」

『昇降口。』

「いこっか。」

蓮くんと他愛もない話をしながら歩く。
今日は生徒がいる時間帯だから、昨日と比べれば、混雑していた。帰るもの、部活するもの、あとファンクラブ的なもので。

『人多いね。』

「いつも真っ暗で帰ってるからじゃない？」

『平和でいいよ。』

いつもなら生徒会室前の階段を利用してるけど、今日はそんなこと気にかけず、人が大勢いる階段を使用した。

これが、間違いだった。

降りようと一歩踏み出した時、

背中に感じる人の手の形。

すぐに押されたとわかる。

体が宙に浮いて、落ちる光景がスローモーションに感じる。あぁ、アニメでよく見るやつはこんな感じなんだとか考えてると、

何か大きなものに包まれた。

ドンっと鈍い音がしたあと、響く生徒の悲鳴。

自分の体に響く痛み。

思ったより、痛くないのかと呑気に考えていると、すぐそこで唸る声。

「んんっ…いっ…」

『…蓮く、ん、？』

どうやら落ちる寸前に庇ってくれたらしい。わたしの頭のクッションになるように、彼の腕がすぐそこにあって、幸いにも彼も頭を打たなかったようで、

「…Aちゃ、ん、…大丈、夫？」

自分の心配しなよ…。

周りに人がたくさんいるけど、誰も助けてくれない。

起き上がろうとしても、わたしも蓮くんも半身を打ち付けて力が入らない。

「なに、何の騒ぎ？」

上で聞き覚えのある声がして、周りにいた生徒がおろおろし始める。

「目黒！？」

階段を駆け下りてきてくれたのは、岩本先輩だった。

「…なん、で。」

「照ー、早いって、、、」

後から追いかけてきた大介先輩も言葉を失ってる。

「とりあえず、立てるか？」

深澤も降りてきて、何か察知したのか、

「照、目黒頼む。俺はこいつ運ぶから。」

体格的に判断したんだろう、ぼーっとしてると体が浮いて、なにもできないから、身を預けることにした。

その５秒後ぐらいだった。

「なんで、」

「なんで誰も助けないんだよ！！！！！」

大介先輩の怒号が響いたのは。