検索窓
今日:12 hit、昨日:11 hit、合計:132,006 hit

49人目side一郎 ページ13

Aに引っ張られ無理矢理入れられた風呂の中で考える。



「クソダセェ…」



悔しいが左馬刻の言う通りだ…

嫉妬に狂って周りが見えなくなっていた。

まるでお気に入りの玩具を取られた子供みたいに…









____ずっと前から好きだった。



きっかけなんて憶えちゃいねぇ。

けど…ガキん時からあの背中追いかけてる内に、友愛とか憧憬とは違う感情が芽生えたのは確かだった。

Aは隣に住む歳の離れた兄ちゃんで、親がいない時はAが俺の面倒を見てくれた。

二郎や三郎が産まれた時も、4人で一緒に遊んだくれた。

そういやあん時も、まだ泣いてばかりの弟たちに嫉妬してたか…

あいつ等が泣いてたら俺に構わなくなっちまうからな…

それから訳あって孤児院に移った時も、Aは学校帰りとか休みの日に会いに来た。

その後俺はグレて、弟達にも軽蔑の目で見られていた時期もあったが、それでもAは側にいてくれたんだ…

周りには舐められまいと虚勢を張ってた俺も、Aの前じゃ弱い所も出せた。

だから、そうやって俺の全部を受け止めるAに勘違いしていたんだ…

Aは俺から離れないって…

何よりも俺を優先してくれるAに安心して、好きだってわざわざ言葉にしなくても大丈夫だと思ってた。

俺だけのAだって…

だけどAは色んな人間の目に触れちまった…

Aの良いところも悪いところも俺だけが知ってると思っていたのに…

Aを知った人間がそこに気づいちまった。

寄りにもよってあの左馬刻にもな…




何でもっと早く伝えなかった…!!

"好きだ"ってたった三文字を言えばAは俺のものになったかもしれないのに…




「このっ、意気地無しが……」




水面をバシャリと叩く。

ユラユラと揺れるそこにはみっともない自分の顔が写っていた。




「こんな顔、Aに見せらんね…」



ガタンッ



「一郎ーーー!!大丈夫!?」

「ギャァァァァア!!!」

「うわっ!?煩いぞ一郎!!」

「Aが勝手に入るからだろうが!!」

「何回も呼んだだろ!!反応無いし風呂長いから死んだかと思ったんだぞ!?」

「勝手に殺すな!!」

「大丈夫ならいいけど早く出ろよ?」

「わかってるわ!!」




覗くAの顔を押し込み風呂のドアを勢い良く閉めた。

全く…人の気も知らねぇで…




「本当に…」









何であんな奴好きになったんだろう…

いっそ嫌いになれたら楽なのにな。





-

50人目→←48人目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (297 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
691人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひねんちはね(プロフ) - ああ゛…更新頑張ってくださぃぃぃいい!続き待っております!!! (2021年10月19日 3時) (レス) @page35 id: 30f9b6695d (このIDを非表示/違反報告)
貴方の作品のファン - 更新頑張ってください!応援してます! (2020年11月13日 1時) (レス) id: b6500f375f (このIDを非表示/違反報告)
華月 - 自分も十四君が気になります。これからも更新頑張ってください(*^^*)待ってます! (2019年9月26日 1時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
hrmk。(プロフ) - 白猫さん» 待っててくださり有難うございます!!更新頑張りますね(泣) (2019年8月31日 9時) (レス) id: 6c7a6386f2 (このIDを非表示/違反報告)
hrmk。(プロフ) - 自宅警備員さん» ごめんなさい頑張ります(泣) (2019年8月31日 9時) (レス) id: 6c7a6386f2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:hrmk。 | 作成日時:2019年3月24日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。