49人目side一郎 ページ13
Aに引っ張られ無理矢理入れられた風呂の中で考える。
「クソダセェ…」
悔しいが左馬刻の言う通りだ…
嫉妬に狂って周りが見えなくなっていた。
まるでお気に入りの玩具を取られた子供みたいに…
____ずっと前から好きだった。
きっかけなんて憶えちゃいねぇ。
けど…ガキん時からあの背中追いかけてる内に、友愛とか憧憬とは違う感情が芽生えたのは確かだった。
Aは隣に住む歳の離れた兄ちゃんで、親がいない時はAが俺の面倒を見てくれた。
二郎や三郎が産まれた時も、4人で一緒に遊んだくれた。
そういやあん時も、まだ泣いてばかりの弟たちに嫉妬してたか…
あいつ等が泣いてたら俺に構わなくなっちまうからな…
それから訳あって孤児院に移った時も、Aは学校帰りとか休みの日に会いに来た。
その後俺はグレて、弟達にも軽蔑の目で見られていた時期もあったが、それでもAは側にいてくれたんだ…
周りには舐められまいと虚勢を張ってた俺も、Aの前じゃ弱い所も出せた。
だから、そうやって俺の全部を受け止めるAに勘違いしていたんだ…
Aは俺から離れないって…
何よりも俺を優先してくれるAに安心して、好きだってわざわざ言葉にしなくても大丈夫だと思ってた。
俺だけのAだって…
だけどAは色んな人間の目に触れちまった…
Aの良いところも悪いところも俺だけが知ってると思っていたのに…
Aを知った人間がそこに気づいちまった。
寄りにもよってあの左馬刻にもな…
何でもっと早く伝えなかった…!!
"好きだ"ってたった三文字を言えばAは俺のものになったかもしれないのに…
「このっ、意気地無しが……」
水面をバシャリと叩く。
ユラユラと揺れるそこにはみっともない自分の顔が写っていた。
「こんな顔、Aに見せらんね…」
ガタンッ
「一郎ーーー!!大丈夫!?」
「ギャァァァァア!!!」
「うわっ!?煩いぞ一郎!!」
「Aが勝手に入るからだろうが!!」
「何回も呼んだだろ!!反応無いし風呂長いから死んだかと思ったんだぞ!?」
「勝手に殺すな!!」
「大丈夫ならいいけど早く出ろよ?」
「わかってるわ!!」
覗くAの顔を押し込み風呂のドアを勢い良く閉めた。
全く…人の気も知らねぇで…
「本当に…」
何であんな奴好きになったんだろう…
いっそ嫌いになれたら楽なのにな。
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ひねんちはね(プロフ) - ああ゛…更新頑張ってくださぃぃぃいい!続き待っております!!! (2021年10月19日 3時) (レス) @page35 id: 30f9b6695d (このIDを非表示/違反報告)
貴方の作品のファン - 更新頑張ってください!応援してます! (2020年11月13日 1時) (レス) id: b6500f375f (このIDを非表示/違反報告)
華月 - 自分も十四君が気になります。これからも更新頑張ってください(*^^*)待ってます! (2019年9月26日 1時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
hrmk。(プロフ) - 白猫さん» 待っててくださり有難うございます!!更新頑張りますね(泣) (2019年8月31日 9時) (レス) id: 6c7a6386f2 (このIDを非表示/違反報告)
hrmk。(プロフ) - 自宅警備員さん» ごめんなさい頑張ります(泣) (2019年8月31日 9時) (レス) id: 6c7a6386f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hrmk。 | 作成日時:2019年3月24日 16時