検索窓
今日:17 hit、昨日:11 hit、合計:132,011 hit

47人目 ページ11

「お前は黙って俺様に甘えてればいいんだよ」



そう言って、左馬刻は顔をグッと近づけた。

その顔の綺麗さに思わず息を飲む。



「年上だとか大人だとか…そんなくだらねぇ事ばっか考えるからそうなんだよ」



再び俺の隈を撫で言う。

ヤクザという人間には似つかわしくないくらいその手は優しかった。



「左馬刻が優しすぎて怖い」

「Aにはいつも優しいだろーがよ」

「どの口が言ってんだ…」



左馬刻が何を考えて突然こんな事したのか分からんが、今はこのまま甘えていようか…



「ふぁ〜…左馬刻のせいで眠くなってきた…責任取って1時間くらいはこのままな?痺れても文句言うなよ?」

「そん時は容赦無く落とすから安心しろ」

「うん、何も安心できない」

「いいから…さっさと寝ろ」



そう言うと再び頭を撫で始める。

ん"〜…コレがバブみってやつ?

左馬刻相手にこんな無防備になって…

頭を撫でるその大きな手に酷く安心しきった自分がいた。

そうだ、俺は疲れてたんだな…

だんだん意識が遠のいていくのが分かる。

気付いたら俺は左馬刻の膝の上で深い眠りに付いていた。









「ん"っ…ん〜…」

「やっと起きたか」

「こ、ここは…?」

「お前ん家の前」



ぼやけた視界で見えたのは、左馬刻の顔とそのすぐ側にある雨が降り注ぐ窓。

そして、微かに感じる振動…



「車か…」

「運んでも起きねぇとは思わなかったな」

「そんなに爆睡してたのか俺…」



よくもまぁこんな硬い膝の上で…

そんな事を思っている内に、丁度俺の家に着いたようだ。

ここまで送ってくれたのか…



「なんかよく分からんが…今日はありがとな」

「たくっ…何から何まで世話焼かせる野郎だぜ」



ほら、早く出んぞ…

そう言って車から出ようとする左馬刻。

俺は咄嗟に呼びかける。



「おい、行くって何処に…」

「あぁ?家の前までに決まってんだろ馬鹿か?」

「いやいや!!ここまででいいから…雨降ってるし」

「傘持ってねぇだろうが」

「別にこの距離だし…」

「ゴチャゴチャ行ってねぇでさっさと出ろ!!」

「痛いっ!!!」



その長い足で俺を蹴った左馬刻は、傘を一本持って車から出た。



「さっきまでの優しさは何処へ…?」

「テメェがさっさとしねぇからだ」

「ほんっと、お前って奴は…」



王様ってか、女王様みたいだな。

そう思ったその時…






カタンッ






すぐ側で物が落ちる音がした。




「……一郎?」

「っ………」




-

48人目→←46人目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (297 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
691人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひねんちはね(プロフ) - ああ゛…更新頑張ってくださぃぃぃいい!続き待っております!!! (2021年10月19日 3時) (レス) @page35 id: 30f9b6695d (このIDを非表示/違反報告)
貴方の作品のファン - 更新頑張ってください!応援してます! (2020年11月13日 1時) (レス) id: b6500f375f (このIDを非表示/違反報告)
華月 - 自分も十四君が気になります。これからも更新頑張ってください(*^^*)待ってます! (2019年9月26日 1時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
hrmk。(プロフ) - 白猫さん» 待っててくださり有難うございます!!更新頑張りますね(泣) (2019年8月31日 9時) (レス) id: 6c7a6386f2 (このIDを非表示/違反報告)
hrmk。(プロフ) - 自宅警備員さん» ごめんなさい頑張ります(泣) (2019年8月31日 9時) (レス) id: 6c7a6386f2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:hrmk。 | 作成日時:2019年3月24日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。