こまっちゃん待って〜 ページ17
仕方なくこまっちゃんの隣の席に座るとふと顔を上げた加藤先生。
それから目をパッとそらして仕事を続ける先生。
「Aちゃん、で、どこが分からないの？
あー、ここねぇ、脱水結合ね。」
『そうなんです！なんでこれとこれがくっつくの？』
理解の遅い私を根気よく教えてくれるんだけど…
分かりません…泣
すると腕時計をちらっとみてこまっちゃんが慌て始めた。
「Aちゃん、申し訳ないんだけど私ちょっと用事があるのよ〜。
続きは…えーっと…
ねぇ、加藤先生、Aちゃんに教えてあげてくれないかしら〜。」
『えっ？』「えっ？…俺っすか…」
私と加藤先生の驚く声が重なる。
「そうよ！加藤先生、Aちゃんの担当だもの〜
じゃ、そういうことで任せるわね！さよなら〜」
『…えっ、あっ、ちょっと待っ……』
こまっちゃんがいなくなった研究室にいるのは私と加藤先生だけ。
沈黙が流れてしばらくして…
口を開いたのは加藤先生
「橘…さん。
さっきからさ…聞こえてたんだけど…
あんまり理解できてないよね…
俺の授業、そんなに分かりづらかった？」
『いやっ、そんなことは全然ないんです。
わたし、化学が中学の時からできなくって
…こまっちゃん…小松原先生に根気強く教えてもらって今があるんです。』
「へぇー。
俺に質問しづらいかもしれないけど…
橘さん…Aさんが理解できるまで付き合うから。」
………
Aさんって呼ばれてちょっとだけ嬉しくなった
っていやいやいやいや
ローラーの着いた椅子で隣に、間近にやってきた加藤先生。
「……で、どこが分からないの？Aさん。」
キスされそうなくらいに近い///
…じゃなくて、えーと、そうそう！
『これです。この…』
わたしの左隣に座る加藤先生は左利き。
角ばった先生の字で一生懸命分かりやすく説明してくれて、
『あっ、そういうことかーー！
分かった！分かりました先生！
ほんっとにありがとうございました！！！』
はにかみながら頷く先生は優しいなぁ
時計を見ると6時…30分？
完全下校の時間過ぎてるー！！！遅い…
「Aさん…駅まで送りたいんだけど、仕事が残ってるんだよね…
気をつけて帰れよ。
…じゃあ……また明日。」
少し心配そうな顔をする先生。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 525人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NEWS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なづき(プロフ) - こちらこそ！これからも愛読する者で居させて頂きますね(*^^*) (2016年9月14日 22時) (
レス) id: f0b8fa0157 (このIDを非表示/違反報告)
アカトウネ(プロフ) - なづきさん» なづきさん！！！本当に本当に励まされました(泣)毎日泣いていてもうどうしようもなくなって思わず全然関係ない話なのに書いてしまって、ちょっと反省していたんです・・・少しずつ精神も回復してきているので更新も頑張りますね。これからも宜しくお願いします (2016年9月14日 21時) (レス) id: 2a0a2e9410 (このIDを非表示/違反報告)
なづき(プロフ) - 猫ちゃんの事を前向きに検討しようかと思いました！！本当に本当にどーーーッでもいい事ですね（笑）誠にすみません(><)勝手に報告させていただきました（笑） (2016年9月14日 0時) (レス) id: f0b8fa0157 (このIDを非表示/違反報告)
なづき(プロフ) - 父からは、もちろん愛着がわくのですが、失くした時に辛いと聞きました。そんな時に作者様のお話を耳にしまして、 (2016年9月14日 0時) (レス) id: f0b8fa0157 (このIDを非表示/違反報告)
なづき(プロフ) - 私、最近ペットちゃんに興味がありまして、父親とそんな話をしていた所なんですー！私事ですが、父が以前猫を実家で飼っていまして、あまり父には懐いていなかったようですが（笑） (2016年9月13日 23時) (レス) id: f0b8fa0157 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アカトウネ | 作成日時：2016年5月3日 20時
