34 ページ35
お土産も買って、一旦家に置いてから、また別の場所へ来た。
そろそろ細谷さんも来てしまうだろうが、ここだけはどうしても行っておきたかった。
『ここです』
山姥切「これが主の兄弟の墓か？」
『はい、そうです』
墓参りだけはしておかねばと思った。
政府へ行く時は出来なかったから。
山姥切「それで花を買ったんだな」
『山姥切も着いて来てくださってありがとうございます』
山姥切「長年主のことを支えていたんだ、お礼も兼ねてな」
本当は一人で行こうと思っていたのだが、山姥切が着いて行くと言ったので、こうして来てもらったのだ。
花を入れ、軽く水をかける。
『お兄ちゃん…私、少しは変われたよ』
山姥切と私以外誰もいない墓地で、そこにいるかも分からない人へ話しかける。
『ずっとお兄ちゃんがいてくれて…お兄ちゃんがいなくなった時に、本当に一人になった気がしてた。でもね、今の私にはたくさんの大切な人ができたんだよ。お母さんとも仲直り出来た。お兄ちゃんの言う通りだった、お母さんは私の事嫌ってなんていなかった』
寂しかったけれど、お兄ちゃんが優しくしてくれた温もりは今でも心に残ってる。
私が水をかけている間に山姥切が線香の用意をしてくれたのか、渡してくれた。
そっと墓に置いて、静かに手を合わせる。
私は、私の本丸を…私の大切な人たちを守りたい。
もう大丈夫…一人じゃないから。
だから、安心して見守っていて欲しいな。
そう思えば、優しい風が吹いた。
まるで兄が頷いてくれたように。
山姥切「…主の暖かさは、主の兄弟から来ていたんだな」
『え？』
山姥切「…いや、なんでもない。きっと優しい人なのだと思っただけだ」
『…はい、優しい人でしたよ』
なんだか兄がそばに居るような…そんな感覚を不思議と感じだ。
『そろそろ行きましょう。細谷さんが来ているかもしれません』
山姥切「そうだな…」
水を汲んだ桶を持って、その場から立ち去る。
山姥切は立ち去る前に、振り返って墓をじっと見つめた。
そしてすぐ私の隣へ来た。
山姥切「現世はいい場所だな」
『そうですねぇ…。でも私は、本丸も好きですよ』
山姥切「そうだな」
優しい風に見守られながら、家に帰った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 695人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴぴ(プロフ) - すこんぶさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉めちゃくちゃ嬉しいです！ゆるゆるな更新頻度ですが頑張ります！！ (2022年10月30日 21時) (
レス) id: 6f0dbc7b41 (このIDを非表示/違反報告)
すこんぶ - 初コメ失礼です！あまり忙しくて時間がないながらも今のところまで読みました！主ちゃんを認めてくれる(？)そんな刀剣男士達が好きです！もちろん主ちゃんもです！これからも体調に気をつけて頑張ってください！ (2022年10月30日 21時) (レス) @page44 id: c1e67fd661 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴ(プロフ) - ねこねこみこみこさん» うああああああ！！コメントありがとうございます！！そう言って頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！！！更新頑張ります！！！ (2022年10月20日 19時) (レス) id: 6f0dbc7b41 (このIDを非表示/違反報告)
ねこねこみこみこ - 初コメ失礼します！とても面白くて短時間で全部読んじゃいました！主ちゃんとまんばちゃんはもちろんはるちゃんとその加州くんもとても好きです！更新頑張ってください！ (2022年10月20日 19時) (レス) @page41 id: 8e84554dce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴぴ | 作成日時：2022年6月25日 8時
