Phase.01《2》 ページ4
「……ああ。《荒覇吐》か……。成程……《荒覇吐》ね」
太宰の骨は軋んでいる……。と、云いたいが、軋んではいない。
私が無意識に力を弱めているのだろう。
好きな漫画の、好きなキャラだからと云って。
………ちゃんと気合いを入れなければ。
「……知ってるんだな？」
「いいや？ 初耳」
私は太宰を蹴った後、また太宰を踏む体制に戻り、先程以上に力を入れる。
今度こそ、太宰の骨が軋んだ。
そうして少し呻いた太宰に、私は力を弱めそうになった。
だが、冷静さを取り戻し始めた脳で、そうする事はなかった。
「いいぜ。記録に挑戦するか？ 最長は九回だ。
それ以上蹴られても黙っていられた奴は、今のところいねぇ」
太宰は痛みに顔を顰めている……。が、恐らく此れは太宰の演技なのだろう。
"時間稼ぎ"だろう。
「そうかい……。情報を話したら……解放してくれるのかい？」
「ああ。俺は弱ェ奴には優しいからな」
太宰は少しの沈黙の後、真剣な顔になり、云った。
「ああ。判った……話そう」
緊張を含んだ声で云うが、云われるのは仕様もない事だ。
「君は……もう少し牛乳を飲んだ方がいい。背が低すぎる」
私はほぼ反射で太宰を蹴った。
転がり落ちる事はなかったが、かなりムカついた。
若しかしたら、中原中也の体に引っ張られているのかも知れない。
「余計なお世話だ此の野郎！」
「俺は十五だ、此れから伸びんだよ！」
「ふふ……では呪いをかけてあげよう。
僕は同じ十五歳で此れから伸びる、だが、君は対して伸びない」
「腹立つ呪いかけんじゃねぇ！」
"呪い"の通りになって仕舞うから、恐ろしいものだ。
呪いというより予言に近いのだろう。
……私はあくまで男装しているだけであって女だから、もう成長期は終わってるも同然なのだが。
そんな事を考えているうちに、私は太宰の顔を蹴り飛ばしていた。
「痛いじゃあ……ないか」
口から血を垂らしながら薄く笑っている。
「だがお蔭で思い出した。
《羊》……このヨコハマで一大勢力を築く、
略奪や抗争や人買いの襲撃に抵抗するために、
少年少女達が集まり自衛組織を作ったのが発端なのだと聞いた」
すらすらと太宰が云う。
勧誘されたからと行って、此処まで知っていると……。
矢張り太宰は底知れない。
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眠いちゃん - lokilokiさん» 全然大丈夫です〜！ 寧ろありがとうございます！ (1月20日 14時) (
レス) id: 07b28c2f89 (このIDを非表示/違反報告)
lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (12月25日 23時) (レス) id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：眠いちゃん | 作成日時：2023年11月4日 21時
